続きです。シンガポール現地2日目の午後。

部屋の中では元気な息子に、出かけようと言うと鈍い反応。
「出かけようか-」「えー」
「出かけようよー」やだなー」
という問答を何度も繰り返しているうちに、夕方。
そして、気付くと、ものすごい大雨!

この日はナイトサファリに行くつもりだったので、
大いに困る。
ホテルのフロントのお姉さんに、
「ナイトサファリに行こうと思っているのだけど、
どう思う? もうすぐ止むと思う?」
と聞くと、
「明日にしたほうがいいと思う。
すぐには止まないと思うし、
こんな雨の中で行ったって、動物も見えないし」
みたいなことを言われる。
そうかー、シンガポールのスコールは、なかなか止まないのかー。

と、思ったけれども、私の中でナイトサファリはビッグイベント。
「ダメだったら、明日もう1回行けばいいんだもん、
出かけよう! 夜は今日と明日しかないんだから!」
と決意して、息子を誘うと、彼もナイトサファリは楽しみにしていたので、
はりきって支度。

ほんっとにものすごいどしゃ降りの中、タクシーに乗って出発。
しかし……途中の道が大渋滞。
なんでも、大雨で木が倒れ、道がふさがってしまった箇所がいくつもあるとか。
不幸中の幸いで、タクシーの運転手さんがとても穏やかでいい人で、
英語も通じて(というか、私の英語が通じて)、
ノロノロすこしずつしか進まない大渋滞だったけど、イライラする様子もなく、
渋滞の理由もよくわかるようにおしえてくれたし、
シンガポールのタクシー事情、交通事情も聞くことができた。
「このあたりは“レザボア”があるからよく雨が降るんだ。
“レザボア”って分かるか?
生活のための水を溜めておく池のことだよ」
と説明してくれて、私はreservoirという単語を覚えた。
渋滞の中、「この車は通勤の人たちですか?」という文が、
どうしても英訳できなかったのだけど、
なんとかかんとか質問して、
シンガポールの通勤は主にクルマということも聞いた。

普通なら20分で着くところを、2時間かかって、やっとナイトサファリ到着。
息子が「お腹すいた」を連発していたけれど、
私は彼がトイレ行きたいと言わなかったことにホッとしたよ。
この頃には、みごとに雨があがって、予想と違ってけっこう人もいたのだ。
日本語のトラム(ツアー)の、早い時間はもう満席で、
遅い時間しか予約できなかったほど。

ハンバーガーの食事をして、ショーを見て、買い物をして、
遅い時間(9時過ぎだったような?)にトラムに乗る。
熱帯でも、この季節は夜になるとけっこう涼しくて、
私は長袖を1枚羽織っていたけど、すこし寒かった。

夜のうす明かりのなかの動物めぐり。
あの雰囲気は、ガイドブックにあったとおり、本当に神秘的で独特。
息子はなぜか怖がっていたけれど、
暗闇を怖がっていたのか、動物を怖がっていたのか。
すぐ間近に動物たちが来るので、どういう仕組みなのかも不思議。
自分と間仕切りのないところにライオンがいて、
飛びかかってこないの?大丈夫なの?なんで?という感じ。
薄闇の中でのツアーなので、今思い出しても動物たちの映像はモノクロ。
でも、リアルタイムで感じたのは、
なんだか自然の動物たちの姿を、こちらの姿を消してそっとのぞき見しているような、
そんな不思議な感覚でした。

トラムツアーが終わったのは10時過ぎだったかな。
さすがに息子も眠そうで、すぐにタクシーでホテルへ。
このころには渋滞も解消していて、20分で着きました。
就寝。

続く。