引っ越し先の新たな地域で買い物をしようと思い、単独でとあるスーパーに行った。

 初めての所だったので、顔見知りの店員さんはいなかった。ワッシは電動車いすで、左手でハンドルをさばいているため、右手は思うように動かず、買い物かごを持っての移動は出来ない。なので、店員さんに声を掛け、手伝ってもらうのがワッシのやり方なのだ。

 いつものように、レジの近くにいる店員のお姉さんに声を掛けた。「すいません、買い物をしたいんですけど、手伝ってもらえませんか?」と。すると、そのお姉さんが、「ちょっと待ってくださいね」と言って、他の店員さんを呼んでくれるまで言葉通りに、ちょっと待っていた。すると、店員のお兄さんがやって来てくれた。ところがその第一声が、「何買う?」だった。ワッシは明らかに年上の、しかも初対面の見知らぬ客だった。ワッシは、「これは客に対する店員の言葉遣いか‼」と内心思ったが、手伝ってくれるだけまあいいかとそのまま何も言わずに、素知らぬ顔をして買い物を済ませた。ちなみに、その間もお兄さんの言葉遣いは改まらず、ため口に近いものだった。初めての店だったので遠慮もありそのままにして店を出た。今度行った時は、まず責任者を呼び出し、障害者といえども物ができないだけで、客としての対応をせずため口をきかれたと、苦情を言わなければならないと思った。

 障害者が引っ越すと、また新たに地域を開拓し、耕さなければならないと思う時、やりがいがあることも事実だ。しかし、昔から変わらない現実に、「ええ加減にせえよ~~~!!!」という思いがこみ上げてくるのだった。

 障害者と普通に話ができない障害のない人が多いのは、明らかに子どもの頃から障害のある人との関りがないという証拠である。この現実を変えるためには教育の改革、分けない教育、インクルーシブ教育の実現が必要不可欠だと思う。夢のようだが、障害のある人と障害のない人が、日常的に普通にあちこちで話をしている光景を、未来の現実として願い、これからもそういった世の中を目指し、活動していきたい。

 ≪後日談≫

 後日、上記のスーパーに行き、責任者を呼び出して苦情を丁寧に言った。すると、その人は丁寧な対応で謝罪の言葉を言ってくれて、頭も下げてくれた。ワッシは「これからもよろしくお願いします」と挨拶をして店を出たのだった。