弥生会計を使っている中小企業さんの中で


「むひょっ?なんで消費税10%になってるねん。」


と驚く方もいるかも知れません。



弥生会計14辺りだと10月以降の取引が消費税10%になってしまいます。


これは当初10%適用予定の今年の10月から消費税10%の設定になっているためです。


弥生会計15や16にverUPが必要になります。



詳しくは弥生会計のHPをご覧ください。



今更の話題ですいません。






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さて、話は変わりまして・・・・。



先日、下記のような報道がありました。


『税理士:懲戒処分が最多…顧客争奪、脱税指南も

毎日新聞 2015年12月05日 11時14分(最終更新 12月05日 12時44分)


 脱税を指南するなどして国税庁から懲戒処分を受ける税理士や税理士法人が増えている。2014年度の処分は過去最多の59件に上り、10年前の約3倍になった。背景には、税理士の増加などに伴う顧客獲得競争の激化があるとみられ、日本税理士会連合会は倫理研修を通じて指導を徹底する方針だ。


 ◇昨年度59件

 11月、法人税法違反に問われた税理士の男(54)の初公判が東京地裁であった。「多額の借金を抱え、脱税指南を行うようになった」。検察側が事件の経緯を説明すると、起訴内容を認めた男はうなだれた。顧問先の広告会社を受け皿に、架空の宣伝費を計上して、別の会社の脱税を手助けしたとされる。


 脱税事件を巡っては、東京地検特捜部による税理士の摘発が相次いでいる。10~11月に2件の法人税法違反で起訴された元税理士の○○○○被告(70)は、脱税に目を光らせる国税局のOBでもあった。事件では別の税理士も起訴されており、検察幹部は「脱税に関与する税理士は昔からいるが、金目当てに際どい仕事をするケースが近年目立つと指摘する。


 国税庁によると、昨年度の税理士登録者数は約7万5000人で、05年度から6000人増。また、01年の税理士法改正でそれまで規制されていた広告が原則自由となった結果、相場より安い顧問料をホームページなどで宣伝する税理士が増え、競争は激化している。


 国税職員は23年以上勤務して研修を受ければ無試験で税理士になれるが、10年以降は国税局による顧問先のあっせんが廃止された。60代の国税OB税理士は「昔と比べ、うまみは多くない。個人の会計事務所と税理士法人とで売り上げの差は広がるばかり」という。


 こうした中で税理士の懲戒処分が増加。14年度は3年連続で過去最多を更新し、うち13件が脱税に関わったなどして業務停止の処分を受けた。事態を重く見た国税庁は昨年7月、違反行為を調査する税理士専門官を増員、今年4月には業務停止処分の期間を延ばすなど不正行為への罰則を強化した


 日本税理士会連合会の杉田宗久専務理事は「全体から見れば処分はごく一部だが、増えているのは事実。国税当局と連携し、モラル向上に努めたい」と話す。』







国税庁HPの関連HPには


① 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等の考え方(平成27年4月1日以後にした不正行為に係る懲戒処分等に適用)


https://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishiseido/shobun/index.htm#name01




② 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等


http://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishiseido/shobun/list.htm



などがあります。



なお、②の方は氏名のみならず、生年月日・事務所住所・自宅住所・好きな食べ物・好きなアイドル・初恋の相手まで掲載されます。





これを見たら「脱税指南」なんて怖くてできませんね。



いや、それ以前に、税理士業務禁止などの処分を受けたら、全顧問先さんに迷惑をかけてしまいます。






納税者さんにとって一番の迷惑は「税務調査」の立ち合いができないことかなと思います。



納税者さんは、専門用語が分かりませんから、税務調査で税理士がいないと、調査官が言っていることの意味が分からず、困ってしまうこともあります。



もちろん、他の税理士が立ち会うことは可能です。



しかし、税務調査では「説明」や「回答」も重要な要素になります。



納税者さんの立場としては「古くからウチの会社の事情をよく知っている税理士に立ち会って欲しい」という気持ちもあるでしょうし、また、新しい税理士さんが立ち会っても「私はこの会社を見始めたのは最近なので、以前のことは分かりません。」というような可能性もあります。







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懲戒処分を受けた税理士さんの中には


「本当に心の底から脱税とは思わなかった」


という人もいると、私は思っています。




(ちなみに税理士試験では、税法の出題はありますが、倫理や脱税と節税の線引きなどは試験に出ません。仮に出題したとしても、実務をしていない人にはピンと来ないと思います。)





しかし、私が最近、特に痛感するのは



「昔は確かに”節税”として扱われていた手法」



でも



「現在では”脱税”として認識されている」



という時代の変化です。





例えば、先日書いた

[法人税] 「利益が出たから社長が辞めたことにして退職金出そうか」
2015年12月04日

のようなケースも税理士によって意見はさまざまとは思いますが。






例えば、昔は飲酒運転って結構おおらかだったじゃないですか。

(もちろん良いことではないですけど、事実、かなりおおらかだったですよね。)

それが今は「×」ですよね。



それと同じようなもんです。




時代が変わると共に、基準も変わるのです。



昔は「節税手法だったから」ということで現代も通じるとは限らないのです。




そのような変化を確認把握するのは、日ごろから税制改正や税務専門誌や重要判例や重要裁決事例、関連報道などをウォッチし続けるしかないと思います。



諸行無常 」の言葉通り、世の中は常に変化するのです。





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なお、


「税理士業務禁止中でも、仲のいい他の税理士の名義を借りればいいじゃ~ない♪」


というケースも危険です。


実際に逮捕されているケースがあります。

(下記の文中では「所得税法違反など」と書かれていますが、もちろん税理士法違反も含まれるでしょう。)


『脱税容疑で税理士2人逮捕 業務禁止中に事務所名変更し営業 大阪地検特捜部

 産経WEST  2015.12.2 21:41更新
http://www.sankei.com/west/news/151202/wst1512020091-n1.html


 業務禁止の懲戒処分を受けている間に、別の税理士名義で営業し、所得税と消費税計約1億3600万円を脱税したとして、大阪地検特捜部は2日、所得税法違反などの疑いで、いずれも税理士の○○○○(60)=大阪市西成区=と○○○○((かずやす)(63)=同市東住吉区=の両容疑者を逮捕した。特捜部は2人の認否を明らかにしていない。


 逮捕容疑は共謀し、○○容疑者が懲戒処分を受けて税理士業を禁止されていた平成23年、事務所名を変更して○○容疑者名義で営業を継続。同年から25年までに○○容疑者名義で確定申告する方法で、架空の外注費を計上し○○容疑者の所得約2億5900万円を隠すなどしたとしている。


 関係者によると、○○容疑者は19年7月、事務所の従業員が脱税に加担したとして2カ月の業務停止の懲戒処分を受けた。しかし、その間も税理士業を続けていたとして、23年5月に再度処分を受け、3年間の業務禁止となっていた。』




会計事務所の従業員さんも、脱税の手伝いをさせられるなんてイヤですよね。





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過去の関連記事です。ご興味のある方はお読みください。

税理士に対する懲戒処分が強化されています①
2015年04月14日
税理士に対する懲戒処分が強化されています②
2015年04月15日