発車しやーっす!
誰がいつ頃から始めたんだろう、電車の車掌さんの車内アナウンス、あの、にわとりの喉を締めたような、スッパイ声、「えっ、このでんしやぅわ、あっ終点新宿まどぅぇ、めぇいりぃやーすっ。発車しぃやーっすっ」
たぶん、オレが生まれて物心ついた国鉄時代からの唯一変わらぬ伝統芸だ。 そして、誰もが一度は見たことのある、車両を行ったり来たりしながら、車掌をマネする、あの、『駅名が全部言えるアナウンス少年(季節限定)』も、みごとにこの発声法を受け継いでいる。オレがずーうっと不思議に思っているのは・・・
①これは、先輩達から代々受け継ぐ、マニュアル発声法があるのか、専門の指導者はいるのか?
②声の通り(マイク抜け)を良くするために、あえてスッパく絞って出すのか?
③あのマイクを通すと皆同じ声に聞こえるのか?
④運転席に入ると、皆そんな気持ちになってしまうのか?
⑤すべてはオレの気のせいなのか? 以上の五つ
最近ではJRなどで、英語、日本語で録音された耳ざわりのいい女性のアナウンスも流れているが、オレはスッパイ系を応援するね。
これは、年季のいる職人芸で、昨日や今日で出来るもんじゃない・・・ベテランのヤツを聞くとすーっと耳に入って来て心地いいが、ひとつ間違うと前座の落語家が、真打のネタやっちゃったみたいな・・・出来、不出来がすぐ解っちゃうライブ感がいいねぇ・・・
よく、春になると、新人車掌さんの初スッパ披露で、セリフを噛んじゃったりして、「しっ失礼しましたっ」だけが自分の声に戻っちゃって、急に思い出したように、あわててスッパ声に戻ったりするのが、初々しくてオレには嬉しくてたまらない・・・
贅沢言わしてもらうと、やっぱり暗いのはちょっといただけないねぇ、気分が滅入っちゃうから・・・これは慣れて来た頃に多いんだよなぁ。
カッコつけて、流しちゃうんだね。おおーっと、人のふり見てだ、初心に戻ろーっと。
「今日も一日お勤めご苦労様です」、とか「車内、混みあっておりますが、さあ今週もハリキッテ参りましょう~」なーんてのもやってもらえると、殺気立った車内もクスッときて、なごんでいいんだけどなぁ・・・
おおーっと時間だ、「カギ、よーし。サイフよーし。ケイタイよーし。行ってきやーっすっ」
あれっ?五本指ソックスの一本あまってる・・・どの指だ!
そこで今日の「ひとし」ぼり
がんばれ!いっぽんでした