俺の夜空に月がない




俺の夜空に月がない
生まれてこのかたずっとない
冷たい冬の星だけが光っている

月が綺麗ですねと誰かいう

地べたに座ってずっと綺麗な月を待っていた
あまりに寒いので俺は
月をあきらめることにした






幾度も朝はおとずれる
朝日だけが俺の心を焼きつくす
月を探すことさえ、、忘れている



しかしこの太陽の輝きようはどうだ
いのちのはしくれの俺
暗い今にこそ憧れる
生命の狂気
歓喜の爆発
太陽に向かって問いかける
同じいのちならば、、俺にもあるはずだと





ある日、太陽が俺に言い放った
おまえさんは月だ
誰しも自分の姿は自分で見ることはできん
誰もが私に憧れる
皆忘れておるんだ
自分が綺麗な月であると


俺はそれから探さなくなった
月は月
太陽にはなれないけれど
俺は俺だ
ほのかに自分の空を照らすことができるようになってはじめて
美しいものを照らせるようになった














☆☆☆
暗い詩の続きをつらつらと書いてみた
外側に幸せを求めてきた
太陽の歓喜の烈しさに憧れる

月が綺麗ですねという奥ゆかしい表現に内在するもの
月という慈愛の象徴

日々だれもが葛藤の中奮闘している

幸せとは自分の中に既にあるものと
自分に言い聞かせたい









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