停電対策2 簡易無停電電源装置の制作 | h.godaiのブログ

停電対策2 簡易無停電電源装置の制作

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前々回の日記に書きましたが、月曜日に簡易UPS(無停電電源)を作ろうと思い、足りないパーツを秋葉で買ってきました。(ヒューズとリレー、ACコンセント類です)

原理は簡単、車用のバッテリーに、車用のDC-ACコンバーター(インバーター)を付けて商用電源と同じAC100Vを得るというものです。

幸いにも、我が家にはハイエース用の新品の大型バッテリー(12V115A/h)、大容量インバーター、バッテリー充電器がありました。これだけ の組み合わせで、停電中も家の中でラクラクAC100Vを作って電灯を付けたりTVを見たりできます。それならば、いっそこのと「停電時に自動的に切り替 わる簡易UPSを作ってしまえ」と思ったわけです。

とりあえずパーツをそろえて、リビングでバッテリーにインバーターをつないで、テレビなどが見れることは確認しました。しかし、そこで大きな問題 に気がつきました。ブースターケーブルでバッテリーとインバーターをつなげば確かに電気は取れるのですが、家の中でそれをやるのは危なすぎます。そう、前 の日記にも書いたとおり、バッテリーは取り扱いを間違えると大変なことになってしまいます。

その時思いました。もしかしたら、私と同じように車のバッテリーとインバーターをブースターケーブルで接続して電気を取り出そうとしている人がい るかもしれない。電気の知識があまりない人が家の中でそれをやるのは危険すぎると思い、とりあえずバッテリーの取り扱いについての注意事項を思いつくまま に日記に書きました。万が一にもバッテリー火災なんて起こしてほしくないですから。そのせいで一部の人の気分を害してしまったようで、すいませんでした。

さて、話をUPSに戻します。停電のたびにバッテリーとインバーターを引っ張り出してつないては面倒すぎます。輪番停電という前代未聞の事態に なって、毎日のように停電の恐怖にさらされています。私もコンピューターを仕事で使っていますから、停電になったら仕事になりません。
そこで、なるべく手間を省いて、自動的に切り替わるもの、つまりUPSを作ろうと思いました。

UPSといっても、巷で売っている高級品とちがい、あり合わせの材料を組み合わせて作る粗悪品です。しかし、容量はデカイです。115A/hの バッテリーを使った場合、計算上は1KW/hの電力がとれます。1KWの電気を1時間使えるわけです。市販のUPSでそのサイズとなると、かなりの値段が します。(数十万円)

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プラス端子の直近にヒューズがあります。  パナソニックのリレー。応答速度は20ms以下。

こちらも原理は簡単。リレーを一個使います。商用電源が来ているときは、リレーがONになり、商用電源が出力とつながります。商用電源が切れると (つまり停電)リレーがOFFになり、バッテリ+インバーターの出力がつながります。商用電源が来ているときは、バッテリー充電器にも電力がいって、バッ テリーを充電します。回路もごく簡単なものです。

さて、問題はこれをコンピューターのUPSとして使えるか? 普通に考えたらNOです。電磁石とコイルスプリングで動くリレーはそれほど応答速度 が速くありません。つまり、切り替わるときに一瞬ですが停電します。コンピューターは、この瞬間的な停電に弱いのです。いろいろ調べたところ、パナソニッ クのリレーは応答速度が20ミリ秒以下とあります。これならもしかしたら大丈夫かも? と甘い考えで、千石でリレーを買ってきました。

組み立ては単純な配線作業ですが、なんせ常時20~30A、ピークで50A流れます。充分太い線を使って、接点にも気を配ります。(接触抵抗が高いと発熱するので)
しかし、私としたことが太い電線が自宅で切らしていて、買ってくるのを忘れてしまいました。しかたないので2mmの銅線を4本束ねて使うことにしました。

そのとき、イタズラ心が働いて、細い線をそのまま使ってどれぐらい熱くなるか、試してみたくなりました。1.6mmの線を2本1束にして、 50cmぐらいの長さでバッテリーとインバーターをつなぎ、負荷として46インチの液晶テレビとHDDレコーダーをつなげました。そして、録画してあった 番組を再生。ACの消費電力は210W程度。バッテリーからは20Aぐらい流れています。このインバーター、オートバックスで買った安物ですが、意外と効 率がいいです。そして、ケーブルはどんどん熱くなっていきます。10分ぐらいでやけどしないぐらいの温度まで上昇ました。測っていませんが、おそらく50 度ぐらい。電圧降下は約1V。火事になるほどの発熱ではありませんが、消費電力が400Wぐらいになるとヤバイ領域になりそうです。断っておきますが、こ れはあくまでも実験で、1.6mm x 2束で200Wぐらいなら大丈夫ということではありません。比較的良質の銅線を使っていますし、端子は圧着してから半田づけしてありますので、コンディ ションとしては最高の状態だと思います。条件が悪化するにつれて、発熱のリスクは増していきます。

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バッテリーの上に置くとコンパクトです。 カシメ+半田で万全を期します。4本1束です。

イタズラはこのへんにして、この実験からも2mmx4束なら充分だということも確認できました。
組み上げてみて、先ほどのTV+HDDレコーダーをつなげて、商用電源のコンセントを抜いたり指したりしてみましたが、リレーの音がカチカチいうだけで、テレビもレコーダーもまったく問題なく動いています。とりあえず、この程度の家電なら大丈夫そうです。

さて、次はPCです。私が仕事で使っているデスクトップPCは、結構電気食います。CPUは、TDP125Wの熱い奴、ビデオカードは古いけどピークで200Wぐらい電気くいますし、HDDは8台も付いています。このPCをこんないいかげんなUPSでカバーできるのか?

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無謀にも仕事で使っている大事なPCで実験。無事でした。

やってみました。ただし、GPUが動きだすとおそらく死ぬので、GPUには負荷をかけていません。消費電力は約400W。安全を期すため、最初か ら商用電源無しでバッテリー+インバーターの構成で電源投入。無事にWindowsが立ちあがりました。ACの電圧は92Vまで落ちています。
起動が終わってひと段落したところで、コンセントにプラグを入れて商用電源に。このとき、リレーが動きますから、瞬間的に停電します。さて、私のPCは瞬断に耐えられるか?

大丈夫でした。何事もなかったように動いています。次は、商用電源からUPSへの切り替えテストです。おもむろにコンセントを抜くと、リレーがカ チっと音を立てて切り替わります。PCは大丈夫。Webをみたり、コンパイルぐらいの負荷なら問題なく動いています。調子にのって何度もコンセントを入れ たり抜いたりしましたが、全く問題ありませんでした。すくなくとも、私の環境ではこの簡易UPSは使えます。

長くなりましたが、リレーで切り替えというだけの簡単な仕組みながら、テレビやHDDレコーダー、デスクトップPCのバックアップに成功しまし た。もちろん、いつもうまくいくとは限りません。たまたま、私の環境で実験が成功しただけです。もし同じようなものを試される方は自己責任で。

これで停電は怖くなくなりました。TVなら5時間ぐらい、PCでも2時間は使えます。LED電球なら数日は大丈夫でしょう。バッテリーが重たくて持ち運びは大変ですか、なんとか一人で持てる重さです。

考えてみると、このような簡易UPSは、インバーター部分は秋月のキット使って、充電回路を自前で起こせば部品代6000円ぐらいで作れちゃいま すね。(オートバックスのインバーター+充電器よりは随分安くできます) 停電のたびにサーバーが落ちる某社に買ってほしいです。