猛暑の峠は越えるとか言っていたような気がするけれど、もう一つ先にも峠があったのかも。
またまたやってきました。この季節。たまに見逃してしまうこともあるけれど、今年は忘れずにうかがいました。だいたい漆と言ったら覗き込むと自分が映ってしまう、そんな作品が好き。この基本線はあまり変わらない。だけど、今回は落ち着いたしっとりとした表面にひきつけられた。その代表的な作品としてはも武田さんの「猫」、藤墳さんの「犬のもの」なのかと。藤墳さんの作品は以前拝見している記憶が。陳列館を出て上野駅に近づいたときに、思い出したけれど、武田さんは記憶がはっきりしない。でも、武田さんの作品は猫だと言われなければ、何か動物だとは思うかもしれないけれど、はて?と立ち止まってしまう。この光を反射しない、そして毛羽だった表面が何かの生き物だと思わせるけれど、何か山嵐とかウォンバットとか、そんなものかなと思ってしまう。台座も含めて光を吸い込むような表面に圧倒される。松本まで拝見しに行った野田さんはバナナでも、昆虫でもありませんでした。「膨」というタイトルだったかと思いますが、本当に変な例えで申し訳ないけれど、悪魔の実みたい。とても細かい装飾で何の実かわからないけれど、でも、何かとんでもない実のような気がする(実に寄せすぎすいません)。そして、高島屋で拝見した佐々木さんの作品は靴とか服でくるのかと思ったら、「乾漆木目塗箱」。当たり前だけれど、こういうものもできちゃうんだなぁと。隙のない見事な作品でした。ただ、いつも思うけれど箱は中身がみたい。多分今回、マットな感じの表面にひかれたのは入口すぐにあった大西先生の作品によるところが大きかったのかなと。展示の導入における印象ってとても大切。それから、これはとっても難しいところだけれど、ポップな作風とカワイイとどの分野にも拡がっている。だけど、今一つしっくりこない場合もあるというのは感じる。良し悪しというよりも好みの問題として。陳列館の2階だけというスペースでぎゅっとまとまっていて、とてもいい空間になっていたし、ここまでの道のりが暑くなければもっといい気分だったのにと思う(帰りもしんどい)。覚書的にアートプラザにも立ち寄ったことを書き忘れていたので。間瀬さんの作品も漆だった。波打つ水面の光の反射が漆ととてもしっくりくる。それがただ拡がっているのではなくて、切り取られていることも面白く、この周りがどんなふうになっているのか想像が膨らむ。そして、河﨑さんの作品も拝見していく。相変わらず、いい。今は何を作っているのだろうか。これらのシリーズもしっかりと落ち着いているし、今後の展開も楽しみ。西村さんの織物、涼し気なんだけれど、何か知らない間に切り傷ができているようなひりひり感も。
筋肉痛、じわじわ。