あほみたいに暑い。もう少しの我慢と自分に呪いをかけているけれど、呪術師の能力はないみたい。

東京国際フォーラムホールCにお邪魔。まずは、『PHILIPS 836 887 DSY』から。こちらはピナ・バウシュのソロ作。本当に短い作品。身体全体の伸縮を意識する動きで、何となく最初に戻って来る。手足の長さが強調されるというか、アメーバのような動き。カウントではない動きのようで、音に絡め取られない動きが魅力的。次いで、アフリカのコンテンポラリーダンスを牽引するジェルメーヌさんの作品。『オマージュ・トゥ・ジ・アンセスターズ』。テキストがあって、それに引っ張られるのかと思いきや、そうでもなく音楽ともチグハグな動きで、踊っているというよりは、何かに突き動かされているよう。緞帳を降ろさない設営で舞台前が大混雑の休憩。土を入れてました。それを写真に撮る人々。意味なんてない、ただただ記録するのみ。『春の祭典』。単純にあの土のイメージはこの曲にはないような気がしたけれど、想像していたものより、乾いてサラサラしていたものみたい。ステップで土埃が上がって察する。その土埃も効果的に、たけど、やり過ぎずに巻き上げながら、進んでいく。これだけの人数を誰一人ぼんやりとさせずに動かしていく構成にたまげる。休憩前の演目が音と動きのチグハグだったと感じた分、この音の取り方、裏切り方、どれもすごかった。このまま追われるように魘されるように音に引きずられるのかと思いきや、ピタリと止まったり、終盤にアクロバティックな動きをもってきたり、ギリギリのところを攻め立てる。音の切れ目に聞こえるダンサーの呼吸がその激しさを物語っているけれど、悲愴感はなく、その逆に恍惚としたものもない。何処か芯は冷えている。この曲だと、結構激しい振りを繰り返すっていうのが、定番としてはあると思うけれど、それを見越して、「この位はやるけどね」みたいにすかしてみせながら、それだけにならない深みがあった。それは、身体の大きさも揃っていないし、細かく見ると振りの質感も異なるのを、是としながら、叩く、腕を開く、といった動きのニュアンスにはとても拘っているからなんじゃないかと思う。熱に浮かされながらも地に足が着いている、そんな群舞だった。

なんだか腰が疲れた。