風が強くないと少しだけ救われる。少しだけですが。

長丁場。とはいえ、歌舞伎を昼夜観るなんてこともよくやっていたんだから、と思い直す。3つの枠から構成されているけれど、どこかだけでも拝見できるし、途中(決まった時間だけど)に退出もできるので、あまり力を入れずに空間で起きていることを感じることに。まずは、「艶」。開場した時にダンサーが既に歩いていて、何となくもう始まっている雰囲気。クラヴィコードの調律の最中も歩き回る。最初は触れ合わない。抱擁の真似事のような動作が続く。何きっかけかはわからないけれど、徐々にコンタクト、リフトが始まる。時折入る橙色の照明が朝日か夕日のよう。後半は、無音でじっくり絡まっていく。クラヴィコードが音楽を奏で始めると、解けていく。「韻」。関係性がより濃く、かつ柔らかいのに、はっきりとしてくる。ワークショップの最初にやった関係性を作って、切っていくものかなぁと。後半はよりスピードもパワーも高まる。関係の切り方、タイミング、どれも繰り返しがない。前の枠から少しずつなくなっていった銀の鎖が完全になくなり、視界が良好になる。「姿」。ここからワークショップでやった、あのユニゾン。緊迫感溢れるもの中、濃密な時間。ずーっと無音でユニゾン。もう呼吸とアイコンタクト、気配でしか合わない。45分経って扉が開くまで、かなり緊張していたのか、どっと疲れた。ラスト1時間は走ったり、ユニゾンもこれでもか!とくる。終わりの演出っぽいものがあったけれど、結局それで終わりな訳ではなくて、多分お客が完全に退出するまで、ずっと続くんだろうと思ったので、きりの良いところで退場。最後にダンサーに拍手を送れないというのもなかなか珍しいけど(心の中で拍手)。ワークショップを受けていたからこそ、面白いと思ったことも多くて、果たしてそれなしに自分はどこまで楽しめたのかなぁとも思う。受けていなかったら、この長時間は悶絶していたのではないかと思う。集中力の問題もあるし。とはいえ、身体の使い方やらは好みではある。終わりが見えないけれど、終わりに向けて壮大な「助走」があって、最後の2時間は、これでもかというくらいのユニゾンだったけれど、個人がそれぞれ際立っていたし、あの人さっきと同じようなことしているはずなのに、ちょっと違うなとか、全く同じではないという当たり前が当たり前のようにそこに在った。そして、触れることなく、触れている感覚、とてもすごい挑戦に立ち会うことができて、とてもいい気分。また違った作品でもお会いしたいと思う。6時間は確かに長いけど、45分毎に休憩タイムみたいな時間があるので、何とか乗り切ることができました。腰をケアして今日は休みます。

外にでたら途端に目が痒くなってきた。