寒くなった。まぁ冬だし仕方ない。まだまだ暖かい気もするし。

とりあえずあまり興味がなかったんだけれど、うかがった。常設展込だということもあって、それも目当てに。結果としては、やっぱりあんまり興味がわかなかった。よくわからないとか目眩がするとか、そういうのではなくて、単純に好みではない、ということか。めざしていたものや、辿り着いた地点、さまざまな影響は、納得というか、そうだろうなぁと思う。だけど、あまり愛でていたいと思わない。当時は確かに「美の革命」だったのかもしれないけれど、今観たときにそれほどそうしたことを強く感じないのは、既知のものとして、見慣れてしまった部分があるからなのかもしれない(個別の作品を知っているというよりも、大きな流れを、という意味)。ちょっと前の古い3Dのポリゴンみたいな人物像が古めかしく見えるのはそういうことなんだと思う。単純に幾何学的な文様になっているような部分についていえば、折り目のように見える部分をどこに持ってくるのか、何を見せるのかということが描き手のオリジナリティのような気もするが、そう考えると絵画よりも彫刻のほうが親和性が高いように感じる。キュビズム以前の括りにあったから関係ないんだけれど呪物がとんでもなくインパクトが強い。あんなに釘を打たれて、痛々しい。誰かの思いを背負うということはそういうことなんでしょう。描かれているモチーフにギターやヴァイオリンとか弦楽器が多いのは何かいわれがあるんでしょうか。よく理解できなかったけれど、あまりに頻出するので、もういいんじゃないかと途中でぐったりしてきた。シャガールが途中で出てきて、なんだかちょっと違和感があったけれど、説明をあまり読まずに放置。「ロシアとロバとその他のものに」という不思議なタイトルの作品が不思議すぎて釘付け。モディリアーニもこんなところでお会いするとは!という感じだったけれど、どこから見ても彼だとわかる作品でした。この運動が戦争と絡まっていく過程などがとても興味深かった。どんなものもこうして政治利用されていく中で、尻すぼんでいくか、尖りすぎてしまうのかもしれない。山内さんの展示『Ballet Mécanique』の由来となっている作品(映像)は、部分が部分として、断片的にしか写し取られていなかったりして、その技術水準と相まって、切り貼り感が強く、全体の印象はクローズアップしているのに、遠景になってしまっている。そして何よりも震えたのが、バレエ・リュスの『バラード』の衣装のデザインをピカソがしていて、その絵と写真を拝見できたこと。確かに時代的には重なるけれど、こんな風につながっていたとは勉強不足でした。ということで、とりあえず拝見して良かったと思い至る。

ゆっくりいこうと思っても、そう上手くはいかないんだなぁ。