鉄槌教師
レビューとしては初のウェブトゥーンであるが、この作品に関してはいままで読んだものの中では群を抜くものだったので紹介します。ここに書くのはシーズン1(~111話)を読んだ時点での感想ですので悪しからず。
韓国マンガで、原題は『참교육』。漢字に直すと「眞敎育」のようです。真の教育ということですね。原作はネイバーのマンガサイトで見つけられました。
腐敗した教職員やイジメ、少年犯罪などなど、崩壊した学校教育の現場を是正するために生まれた「教権保護局」に属する主人公らが半分暴力を交えた強引な方法で直していこうとする世直しものといってもいい作品です。知っている既存作品でいうと『GTO』なんかと近いのかと思います。
世直しものとして、すぐに思いつくのは、『水戸黄門』ですが、大きく違う点。そして、この作品の良い点として、アフターケアが挙げられます。拳を交えるような強引な方法を使って問題を修正して、そこで終わるのではなくその後どうやって更生させようとしているかまで描いているのです。
そして最もこの作品をよくしていることは、リアルとファンタジーの割合でしょう。「教権保護局」なんて武力で教え、教えられる権利を支える団体など韓国にも存在しません。そこはファンタジーです。しかし、教育上の問題として取り上げられることはリアルに起きた事例を下書きにしているようです。
その様子は111話終了後の特別編として公開されている制作過程でみられます。そこでは、取り上げる事件の実際について「実際よりずっと美化して描いている」と書いています。
児童虐待の問題は日本でも韓国でも目を背けたくなるような事実もあります。それと向き合いつつ、マンガとして成立するように調整して描いているようです。
普通に生きていると、そのような現実から目を背け続け、あることすら気づかず生きていってしまいます。このような作品で目に入れられることはある意味で運がいいのかもしれないと思いますね。
この作品。韓国と日本の違いも感じられる部分はあります。たとえば「受験戦争」。やはり日本と比べて受験戦争は韓国の方が過酷でしょう。それを背景にして起こる事件も描かれています。その点でみて、少し状況が違う部分もありますが、日本でも親の期待から虐待が起こるという基本構造自体にはかわりはないでしょう。
娯楽として消費してしまったら、スッキリして目を向けなくなることが基本ですが、実はこの作品、スカッとすることもありますが、なんとも言えないモヤモヤが残る場合も多くあります。これはきっと意図したものです。現実問題として、このような問題を捉え、マンガのようにはできないにしてもどうやって解決していこうか、なにかできることはないだろうかと少し考えさせようとしてくれている気がします。
現実として、きれいに根本から解決することなんてないですからね。ある意味で現実を教えてくれるマンガです。

もし、読みたい方がいられまいしたら、LINEマンガで無料で読めますので読んでみてください。
もし、韓国語に堪能な方であれば、原作はこちらから。

チェ・ヨンテク(채용택)、ハン・ガラム(한가람)作『鉄槌教師』原題:참교육
※この記事に体罰を推奨する意図はありませんし、紹介したマンガについても体罰を推奨するようなものではないと考えております。