映像の世紀バタフライエフェクト 9.11 あの日が変えた私の人生

 普段,TVを観ない僕だが,実家に帰ったときは観る.TVはやはり歴史を振り返ったりして過去から教訓を得たり,あまり興味のない分野に耳を傾け自分の考え方を更新していくにはいいメディアであるように感じられる.

 

 あまり,アニメ以外の映像作品についてどうこう書くことは少ないのだが,今回は心が動かされたので書いておきたい.

 

 一応,観ていない人のためにどんな話か分かるようにNHKの紹介文を引用する形で紹介する.

    

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ。3千人の犠牲者の中には、24人の日本人もいた。息子を失ったふたりの父親のその後の人生をたどる。息子が殺された理由を知りたいと、テロの首謀者・ビンラディンへの手紙を携えアフガンに渡った父親。テロの記憶を風化させまいと567ページものアメリカ政府の報告書を10年がかりで翻訳した父親。深い悲しみを抱えつつ、憎しみの連鎖を断つために踏み出した人々の23年の記録。

 

 

 

 最近,読んでいる本に思考がつられているようにも思えるが,この話を聞いてこう思う.人間は「代表性バイアス」に取りつかれているのだと.

 

 アフガニスタンを攻撃しようというアメリカ国民の心の裏にはアフガン人が皆が皆悪い,テロを望んでいるといった代表性バイアスがあるように思えた.

 死刑囚ストローマンが無辜のイスラム系住民を射殺したのも,アフサヌラ・ラフマトゥラ君が「もしアメリカの男の子が目の前に来ていたら同じ目に遭わせる」といったのも,対象をカテゴリにあてはめて,同じカテゴリだから同じ思想信条だろうという思いを持っている.つまり代表性バイアスが大きな要因のように思える.

 

 

 現在の日本でも移民問題などで代表性バイアスのようにも思えることが多い.あの人は在日朝鮮人だから,クルド人だから...云々

 

 そんな風に不寛容でいたらまた同じような悲劇を招くように思えて仕方ない.

 やはり我々は我々が持つバイアスを認識して,悪い部分については避けつつ克服しなくてはいけない.特に代表性バイアスに関しては,ストローマンの被害を被ったレイス・ブイヤンが減刑を求めたように,あるいはアフサヌラ・ラフマトゥラ君と交流して分かり合おうとした白鳥敦さんのように,一人ひとりが事情が異なることを分かって,一人の人がどんな事情のもとどんな行動をしたのか分かって/分かろうとして行動しなくてはならないと感じた.

 

 

 アフサヌラ・ラフマトゥラ君に関しても,現在の宇露間の軍事行動やガザの問題が新たな時代にも起きているということに関しても無力さを感じさせるが,我々ができる最大限は目の前にいる人を一人の人間として尊重することくらいだ.そういうことが世界平和を実現するのだと信じたいと思える映像だった.

 

 

 

 今回,この番組の中で書籍が紹介された.米国の911の詳細なレポートの邦訳である.911に関しては陰謀論が囁かれる中でより正しいであろう知識を手にして情報を吟味することに価値はあるだろう.ぜひこの本を読みたいと思う.

 

 白鳥敦さんも書籍を残している.合わせて読みたい.