薬屋のひとりごと

 

 前回の葬送のフリーレンに引き続き,少し完走してから時間が経ちました『薬屋のひとりごと』について感想を書いていきます.しかし,2024年春アニメは良作ぞろいでしたね.薬屋のひとりごとはマンガも少し読んでいただけあって,期待値も高かったですし,私のようなにわかアニメヲタクにとってはついていくのにいっぱいいっぱいでした.2024年春アニメの中で私の一番のお気に入り『薬屋のひとりごと』について,稚拙な文章になりますが,お読みいただけると幸いです.

 

  あらすじ

 医師である父を手伝い,花街で薬師として働く主人公猫猫.薬草採取に出かけた所人攫いにあい,後宮に下女として売られてしまう.目立たず,年季が明けるまでやり過ごそうと考える猫猫だが,後宮内のある事件の解決に一役を買ってしまう.そこで美形の宦官壬氏に目を付けられ,大小さまざまな後宮内の事件の解決を手伝うことになるといった内容.

 中華王朝を舞台にしたファンタジー,後宮内のミステリー,猫猫と壬氏のラブコメディーなどいろいろな楽しみ方がある作品です.

 

  薬学の知識

 猫猫は薬師として働いていただけあって薬学に明るい人物です.変態的なまでに薬学の知識を追求する人物で,後宮内のミステリーもその知識を使って解いていくことになります.中華王朝の時代という設定上,具体的な名前は出てこないものの,フグ毒,トリカブト毒など有名な毒も登場するこの作品.知っている人ならばニヤリとできるような好奇心をくすぐる,雑学的な面白さのある作品となっています.

 薬学に関するアニメとして記憶に新しいのは異世界薬局がありますね.(新しいといっても放送から2年たっていますが...)異世界薬局は現代の薬学者が転生するという設定なので,知識と一致するような毒物の名前が出てきます.一方で薬屋のひとりごとは,現代知識とは一致しないのが当然なので一歩引いた目線で限られた知識の中でどういう手段をとるのだろうといったことに思いを馳せることもできます.

  中華「風」帝国

 一つ,気になる点をいうとすれば,ある程度雑学がある人は,中華王朝の知識といっちせず引っかかってしまうところです.

 例えば,松茸ですが日本では昔から「香り松茸、味しめじ」といわれる程,香りが好まれるキノコですが,日本以外,例えば欧州では「靴下のようなにおい」といわれ忌み嫌われています.中国でも恐らくそう.少なくとも珍重されるような食品ではないはずです.

 そんな松茸ですが,猫猫は好んでとってきて見つからないように隠れて食べるシーンがあります.猫猫だけなら個人の好みですが,他の登場人物も好き好んで食べているわけです.現実の反応は「蓼食う虫も好き好き」でしょう.わりと中華王朝を中華王朝らしく書いているだけあって,そのような雑学と一致しない所が気になってしまうのです.

 ただ,この作品,あくまで中華「風」王朝としており,別に中華の再現はしないという方向で作られているらしく,仕方ない部分ではあります.

 

 

  まとめ

 全体を通し,クオリティーの高い作品でした.気になる部分は確かにありますが,知的好奇心もくすぐられ満たされ,ラブコメも楽しめる.一粒で二度おいしい,面白い作品でした.2025年放送が決定している二期には期待したいところです.