【ウォンキュ小説】踊り子 15 | むらたま SUPER JUNIOR キュヒョンブログ

むらたま SUPER JUNIOR キュヒョンブログ

SUPER JUNIORのキュヒョンと、
ウォンキュが中心のブログです。
たまに東方神起も☆
むらたまとは(むらさきたまご)の略です^^

Twitter→@gyuyes

※私のどっぷり妄想のウォンキュ小説です。ここからは優しい目で見れる方のみお進みください。ウォンキュの意味が分からない方や苦手な方はUターンしてくださいね。尚、お話は全てフィクションです。登場人物の個人名、団体名は、実存する方々とは関係ございません。


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



「お兄さんは今どこに?」

「トゥギヒョンは…もう1年以上サナトリウムに入ってる」

「え?」

「…結核だったんだ」

「結核?」

サナトリウムといえば聞いたことがある。
結核など、伝染病の患者を隔離する病院だ。

働き過ぎたキュヒョンの兄は日々のストレスや栄養失調と睡眠不足で自己免疫力を維持することが出来ず、抵抗力も弱っていった。やっと病院へ連れて行った時にはもう少し発見が遅れたら危なかったと医師に言われたそうだ。

「次は僕がトゥギヒョンを助けたい…」

早期治療した場合でも完治するまで最低半年はかかるらしい。
キュヒョンの兄は大気安静療法と結核菌を無くすための薬を飲みながら、空気の良い高原にある施設で過ごしているようだった。
かつては結核の有効な治療法が無いと言われていたが、最近は化学療法の発達に伴い、少しずつではあるが回復しているらしかった。

しかし、金がかかる。
キュヒョンが稼いでいるお金は殆ど借金と兄の入院費と治療費に消えていく。
劇場のオーナーと『藍』の女将だけには話し、キュヒョンが感染してないことを確かめた上で働くことを許可されたようだ。
キュヒョンたちのような仕事をしている人間は、定期的にいくつかの感染検査を受ける。お客との感染を未然に防ぐためだ。

「驚いただろ?あ、俺は今でも定期的に検査を受けているし、トゥギヒョンと関わった周りの人も検査を受けたけどみんな大丈夫だったよ。だから今こうしていられるんだけど。トゥギヒョンは色々重なってサナトリウムに入ることになってしまったんだけど…もしシウォンが少しでも怖いと思ったらこのまま帰っていいし、もう連絡も取らなくていいから」

「キュヒョン…」

「結核の羅漢率は数千人に1人と言われてるから不安だったら検査もして構わないし、費用は俺が出すから心配ない。周りに迷惑をかけた人達にも費用を負担したから病院も紹介出来るし」

「キュヒョナ!そうじゃない。そうじゃないんだ」

シウォンはテーブルの上に置かれたキュヒョンの手をぎゅっと握りしめた。

「本当は今すぐここでキュヒョンを抱きしめたい。なんて言えばいいか分からないけど、よく今まで頑張ってきたな。大変だっただろ?話すのだって勇気がいるし、思い出すのも辛かったと思う。ごめんな。こんなプライベートの踏み込んだ話、聞かせてくれてありがとう。吐き出せて少しは楽になったか?」

キュヒョンが一瞬驚いた顔をしたがすぐ穏やかな表情になった。

「シウォンて…」

「ん?」

「なんでもない」

「なんでもないって、さっきも言いかけてやめただろ?続き、教えて?」

「…優しいね」

「え?」

「その優しさについ甘えたくなる」

「いいんだよ甘えて。俺でよかったらどんどん甘えていいから」

「ありがとう。俺はもうすっかり甘えてると思う。兄のことをプライベートで話したのも初めてだし…聞いてくれたのがシウォンでよかった。少し楽になったよ。あ、俺、ちょっとトイレ行って顔洗って来る」

「え、ああ、うん。大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

人は大丈夫かと聞かれて大丈夫と答える時はそうじゃないことのほうが多い。

キュヒョンが立ち上がるとふと周りの目線が気になった。心なしか痛い視線が刺さる。
周りはカップルか女同士でこちらをチラチラ見ている。
それもそうだ。いい歳したおっさんと、ハタチそこらの男の子がイタリアンを食べながら手を握って甘えていいとか、会話が聞こえてなかったとしても目立つだろ。ああ、だからドンへさんは配慮してこの奥の席を勧めてくれたのか。

店内はクーラーが効き、シーリングファンも回っているというのにシウォンの額に嫌な汗が滲んだ。
キュヒョンが戻って来た時に周りがキュヒョンをジロジロ見るんじゃないかと思うと気が気ではない。

「お客様、お水のお替わりはいかがですか?」

「え?あ、はい。お願いします」

気まずそうに手で汗を押さえていると、いいタイミングで店員に声を掛けられた。

「こちら、お皿をお下げしてよろしいですか?」

「はい。お願いします」

「お飲み物はいつお持ちしましょうか?」

「ああ、連れが席に戻って来たら持って来ていただけますか?」

「かしこまりました」

カウンターを見るとドンヘがこちらを見て軽く会釈をした。

そうか。店員を寄こしてくれたのも、周りの空気が変わったのを読んでドンヘさんが俺に気遣ってくれたからだ。シウォンは内心ホッとした。おかげで店の雰囲気も戻って、好奇心の目で見られることもなくなった。

まあ、目立つことをしたのは俺のせいだけど…
だって仕方ないじゃないか。いろんな感情が入り混じって、どうしようもなく愛しくなって気が付いたら手を重ねてた。
今にも泣きそうなキュヒョンをありきたりの言葉でしか慰めることが出来ない自分を情けなく思う。
どうすればキュヒョンの不安を取り除いてやることができるんだろう。
ここが店じゃなかったら、キュヒョンを抱きしめて離さないのに…

テーブルの下にキュヒョンと重ねた手を隠し、ギュっと拳を握った。



つづく。

※今回『踊り子』の小説を始める前にブログに書いていたのですが、話の題材がこのご時世大丈夫かな?と不安があったのはこの15話があったからです。(後にも出てきます)
感染症の話なので書くかどうか悩んでいました。ただ、この話は3年ほど前から構想を練っていて、設定が約25~30年ほど前で、ある程度話も出来上がっていたため掲載することにしました。
尚、ド素人が書くフィクションですので医学的なことはさっぱり分からずツッコミどころ満載ですが、そこは大目に見てやってくださると助かります(;´▽`A``