※ウォンキュ小説です。
苦手な方はUターンしてくださいね。
キュヒョンを腕に抱きしめたまま、
俺は次から次へと流れ落ちる涙を拭く事さえ出来なかった。
「シウォン・・・ヒョン?」
目が涙でいっぱいになって
キュヒョンの顔もろくに見えない。
俺が今まで信じていたのは何だったのか?
恋愛は女とじゃなきゃいけないと、ずっと思っていた。
今まで女性を見ても綺麗だと思う事はあったが、
欲情することはなかった。
自分はおかしいんじゃないかと、認めたくなかった。
欲しくて欲しくてたまらない感情が
俺にもあったなんて。
ずっと押さえ付けてた想い。
信じたくなかった。
認めたくなかった。
初めて練習室のドアを開けて入って来た瞬間、
俺はもう
とっくに堕ちていたんだ。
今、俺の腕の中にいるこの
チョ・ギュヒョンに。
「ん。ふぅ・・・。」
俺は本能のまま
夢中でキュヒョンの唇に貪りついた。
キュヒョンの両手が俺の両腕を掴み、力が入ってるのを感じた。
キュヒョンの事を想うと俺は
躰が熱くなった。
初めて家に来たあの日から
俺は女では勃たなくなっていた。
キュヒョンの唇に
そっと自分の唇を重ねたあの日、
俺の中で何かが崩れた。
この手で自分の欲望を満たす為に
キュヒョンを想って摩擦する。
いくら拭っても頭から離れない、
キュヒョンの残像を思い浮かべながら自分の手を汚した。
こんなのはおかしい。
間違ってる。
神はちゃんと見ている。
終わった後はいつも罪悪感でいっぱいだった。
キュヒョンを汚し
神に背き
自分の欲望だけを満たす行為。
触れたかった。
キュヒョンに触れたかった。
おかしくなりそうだった。
頭の中はキュヒョンでいっぱいだった。
「はっ。あっ・・・。
ヒョン・・・。やめ・・・こんな所で・・・。」
気が付くと、
俺はキュヒョンのシャツを捲り上げ
胸の突起に手を伸ばしていた。
「ご、ごめ・・・。」
慌ててキュヒョンから身体を離し後ずさる。
キュヒョンは少し息が上がって顔を赤くしていた。
「キュ・・・。」
キュヒョンの頭に手をやろうとした瞬間、
キュヒョンの身体がビクついた。
「あ、ごめん。」
思わず手を引き、行き場のない手を下ろした。
「違・・・。」
下唇を噛み首を横に振る。
「キュヒョン?」
潤んだ瞳で俺を見つめ
何か言いたそうな顔をしていた。
「ん?」
俺は首を傾け、キュヒョンに優しく微笑んでみた。
キュヒョンの躰が俺の躰に合わさる。
俺の手はブランとしたままで、
キュヒョンのおでこが俺の肩にコツンと当たった。
「ギュってして・・・。」
何も考えられなかった。
キュヒョンを抱きしめ
二人の体温が徐々にシンクロするのが分かった。
僕は、自分で思ってるより
ずっとずっと子供だった。
恋愛だっておままごとみたいなものだった。
恋の痛みを知ったのは、
シウォンヒョンと出会った時からだった。
今までの経験も
つまらない知識も
恋愛の前じゃ何の役にも立たない。
どんなに想っても届かない気持ち。
目が合う度、
僕の体温が上がった。
僕以外の誰かを触らないで。
僕以外の誰かと話さないで。
子供のような嫉妬でヒョンを直視できない。
僕を見てよ。
声を聞いてよ。
僕はヒョンに会うたび期待した。
知らないフリしないで。
僕の名前を呼んで。
髪に触れて。
ギュって抱きしめて。
キスをしたいと思ってたのは誰?
僕に触れたいと想っているのは誰?
つづく。
[画像はお借りしています。ありがとうございます。]