義弟：
「俺は誰の味方もしないって
前にそういった通りなんだけれど
まゆみさんにはお世話になってるし
俺ね、来春に家を出ようと思ってるんだ
一緒に出ようよ、この家」
え・・・何その昼ドラ的な
一緒に駆け落ちしよう的なお誘い
もちろん義弟とは
何もありません
私が困惑していると
義弟：
「あ、別に変な意味じゃないよ(笑)
まゆみさん、兄貴と離婚したいんだろ？
俺もすっげーよく分かるよ・・ってか
よくこんな家に嫁いできたなーって(笑)」
私：
「笑いごとではないんだけれど・・・
うん、そうなの・・・お兄さんとね・・・
ごめんね、義弟君の家族なのに」
義弟：
「いやいや、謝らないでよ
俺はさ、この超ド田舎の
長男至上主義な封建的な家に
とんでもなく苦しめられてきたわけで
寂しい思いも苦しい思いもした」
小さい頃、病気の時でも
義母は夫の習い事優先で
義弟は寝てろとだけ言われたり
習い事や塾に行きたくても
次男には勿体ないと言われ
進学したかった大学にも反対
夫よりも出来が悪ければ
容赦なく馬鹿にされ
夫よりも優秀なことがあれば
まるで無かったことのように扱われる
そんな不遇を
重ねてきたようでした
義弟：
「だからさ、二人して
一気にいなくなっちゃったら
この家の財政も家事も農業も
とんでもなく大打撃だと思わない？
そうなったら、俺たちの・・・っていうか
まゆみさんの有難さを思い知ると思う
俺が居なくなっても困らないだろうけど
二人して一気だとインパクト大だよね？」
そうワクワク語る義弟
私はというと
そんなことしたら
噂好きのご近所さんに
義弟とデキてたんじゃないかなど
変な噂を立てられるんじゃないか
とか
二人していなくなったら
義実家の家計が傾いて
残された人たちが大変になっちゃう
とか
余計な心配をして
青ざめてしまいました
法を破ってきた毒親を反面教師に
生きてきた私にとって
常識を守ることがまともな人生を歩む
唯一の道だと信じて参りましたので
義弟の提案は
世間を騒がすような
とんでもない事のように思え
ビビっておりました
私：
「え・・・でも・・・」
義弟：
「この家のことは心配ないよ
まゆみさん甘やかしすぎ
人間やらなきゃいけなくなったら
なんでもやれるもんだよ
やってくれる人がいるからやらないの
ウチの人たちはみんなそうだよ
ここに居たら一生使用人だよ？
それでもいいならだけどね
俺はここで消耗してほしくないけどな」
一生、私は使用人？
奴隷の人生を歩くの？
それは嫌すぎる
義弟の言葉が響きました
私：
「二人でこの家を出るかは待って・・・
夫のこと、何か知ってるの？
そのことをまず私は知らないと
何も始まらない気がする」
義弟は私をじっと見つめて
義弟：
「〇月〇日、〇時」
とだけ言いました
私：
「その日時は何？」
義弟：
「確か○○っていう場所
次はそこらしいよ
兄貴のコレと会うの」
そう言って
小指を私に見せて
ニヤッと笑いました
若いのに
表現が昭和過ぎて大爆笑
ツボりました
しかも小指をクイクイってしてた
続きます
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