暑すぎた夏。
子供がいると夏の暑さってのはまた一味違う感覚になる。
あー、暑いぜベイビー、で終われない。
常に移動に必死になる。
なんてったって大都会東京のコンクリートジャングルでは照り返しって暑さが身長70cmほどの我が子を襲う。
大人が参るほどの暑さなんだから、小人達にはさらに脅威になるでしょう。

んなもんだから、今年の夏はわりと引きこもっていたりして。

なんて言いながら去年の夏もそう言えば引きこもっていたんだっけな。


去年の夏よりは蝉の声を聞いた。
そして、去年の夏よりは夕立の音を聞かなかった。

テレビからは様々な地域の豪雨の爪痕が聞こえてきたけれども、私が住む東東京の南部は幸いなことに極端な雨は少なかったように思う。

これはもちろん幸いなことだけれど、もっとゲリラとか乱暴な雨ではなくて、夏の風物詩みたいな、そんな雨。
それすらも今年は少なかった。

うだる暑さをさらう雨。
街の夏を、リセットしてくれる雨。
そんな雨が少なかったから、今年はずーーーっと、一生夏が続くのかとさえ思ってしまったな。


ようやく今日は少し涼しい。
蝉の声も今はもう聞こえなくて、リンリンと虫の声だけが秋の気配を感じさせる。
それでも日が差すとまだ暑くって、灼けたアスファルトの匂いが申し訳なさそうに残暑を指さすのだ。

早く嗅覚と聴覚が一致する季節になりますようなに。

もしかしたら、そんな日は二度と来なかったりして。




『蝉のうた』


蝉が消える夏の終わり
最後の歌が今は始まる
蝉が消える夏の終わり
空の雲だけ真夏の名残り

君が消える夏の終わり
女々しい僕が泣き始める
君が消える夏の終わり
君の香りを秋風がさらう

一人ぼっちでないてる蝉と僕
聞いてる人もいないのに
一人ぼっちでないてる蝉と僕
伝える人もいないのに


蝉が消える夏の終わり
新しい虫が泣き始める
蝉が消える夏の終わり
しまい忘れた風鈴が一鳴き

君が消えて秋の始まり
手持ちぶたさな左手が冷える
君が消えて秋の始まり
遠くで蝉がまだ鳴いてる

聞いてる人もいないのに
伝える人もいないのに
7日目の月が欠けるまで
歌い続ける君は美しい