衝撃の告白!オ、オレはトラになるのか?
フ~ッ、やっちまったな、オイ...
私はディーラーを出ると震える指で営業車のドアを開け、
安っぽいビニールレザーのシートに座り大きくタメ息を
つきました....
「アナタは気まぐれと思い付きで生きている」
嫁のセツ子が私を評して言う言葉ですが
ハイハイ、その通りです。
実際、この間までバイクを乗り換える気など、まったく
無かったので、つい先日も夏休みのツーリングの為に
1400GTRのタイヤを前後とも交換したばかりです。
ましてや、この私が外車、しかもドイツ車ならまだしも老舗の
看板に胡坐をかいて、買えばすぐぶっ壊れ、代理店もコロコロ
変わりパーツの供給もアテにならない(あくまでも私のイメージ
です)英国車に心を奪われるとは...
我ながら驚いて脱糞しちゃいそうです
ふん、アタイのココロを盗んだのはコイツさ!
TRIUMPH TIGER EXPLORER
所謂アドベンチャーツアラーとかデュアルパーパスだのと
呼ばれるカテゴリーのオートバイです。
この種のバイクではBMWの1200GSを筆頭にヤマハのスーパー
テレネ、ドカティのムルティストラーダ等、魅力的なモデルも多いの
ですが、悲しい事に今まで殆どの車種はそのシート高がネックとなり
私を寄せ付けませんでした。
もちろん私の足が短いのでは無く奴らの設計思想が悪いのですが、
このTIGER EXPLORERは標準のシートが二段階の調整式になって
おり、低い方にすれば837ミリ、オプションのローシートを選択すれば
810ミリと他の車種に比べ、ぐっと身近な感じじゃおまへんか...
エンジンはトライアンフお得意のDOHC3気筒で新開発の1215CC、
137PSとクラストップレベル。装備はトラクションコントロール、ABSは
もとより、クルーズコントロールまでSTDで備え、75台限定のお買得車
Dパッケージに至っては純正のフォグランプ、ハイスクリーン、
ハンドガード、タンクパッド、エンジンバー、アンダーガードの他、
とどめにタイヤプレッシャーモニターまで付くと言う充実ぶりです。
旦那、残り僅かですよ....
ディラーマン氏の悪魔の声が響きます
ああ、私はこの言葉に弱いのだ...
ほんだば、ローシートとパニアケースキット、トップボックスとキャリア
ほんでもってグリップヒーター付けたら何ぼやねん?
と、思わず怪しい関西弁になる私
うーん、総額は2,559,550円也と、中々のお値段です。
あの~値引とかは?
シャイでチキンな私ですが思い切って聞いてみました
お買得な限定車なので基本的にはお値引は致しかねるのですが、
オプションも付けて頂いたので今決めて頂けるのならこれで....
ディラーマン氏は周りを見渡すとテーブルの上に指で数字を書いて
示します。
ピッタリですか?っと、私
彼は熱い眼差しで私を見詰めると無言で頷きますた。
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?
私は頭の中に広がる迷いと疑問符とは裏腹に差し出された注文書に
サラサラと正調ミミズ流の文字でサインを済ませますた....
しかしビビる事はありません。私の人生がアドベンチャーそのもの
なのですから....
さて、嫁のセツ子には何と説明しましょう....
納車までの流れや支払いについて説明してくれるディラーマン氏を
ぼんやり見詰めながら私は嫁に対するいい訳を腐りかけた脳みそを
フル回転させて考えます。
セツ子済まない..夏の、夏のギラギラした太陽がオレを狂わせたんだ
アンタこの前バイク買ったのは冬だったわよね?あの時も狂ったの?
ああ、あの時は凍てつく寒さがオレの脳を...
アンタ本当に気まぐれと思い付きで生きているでしょ?
う、うん。
納車は8月7日の予定です。