尾張一宮に焼そばの源流を見た!
先週末はチベット放浪の旅から戻られた1400GTRオーナーズクラブの
きこりさんに会う為、ロジャーさん、まぁさんと山口県の防府まで行って
来ました。
このチクワはその帰りしなにきこりさんから頂いたモノです。
「寂しくなったらオレ(の?)だと思って握ってくれ」
きこりさんはそう言うと、ぽっと頬を染め恥ずかしそうに腰をくねらせもじもじ
していましたが、遠く愛知より遥々会いに来た友人への土産がチクワ
一本と言うのも、これまた前代未聞の話です...
残念ながら私は道中、青い服のおじさんにサインを求められ快く応じる
と言う悲しい事件もありましたが
天気にも恵まれ、尾道に寄ってラーメンを食べたり、それなりに楽しい旅と
なりました。
日曜の午前9時に防府を発ち山陽道、中国道、名神と乗り継ぎ15時過ぎに
尾張の国は一宮着。
ここで解散と思いましたが、ロジャーさん行き付けのお店があると仰るので
案内して頂く事になりました。
どうやらその店は焼そばが名物らしいです....
こ、これは....
こう見えても私は焼そばには一家言持っている男です。
秋田は横手、静岡の富士宮、大分は日田焼そばと食べ歩いて来ますた。
しかし、その私にとってもこの店構えからは只ならぬオーラを感じます...
こ、これは....
古びた店内は小さなテーブルが3卓あり、ノスタルジックな雰囲気を
醸し出す為の演出と思われる座面の破れた椅子が置かれています...
ここまで徹底してこだわるとは....私は心の中で唸りました。
こ、これは....
タイルの壁を這い回る小さな昆虫を見つけると、ロジャーさんは、
「ああ、そいつはこの店のペットのフォレ夫だで気にせんでええわ」
そう言って、わははははははははははっと、豪快に笑うのですた....
もちろんこれも巧妙に計算され尽くされた演出に違いありません。
氏は常連らしく、カウンター越しの調理場に居るマダムに
うん、わしはいつものアレだわ。ほんでスープも付けたってちょ。
っと、流暢な名古屋弁で声を掛けます。
こ、これは....
壁に貼られたメニューはと見れば...
中華そば(並)が三百六拾円と昭和50年代にタイムスリップしたのでは
無いかと錯覚を起こす様なお値段が並んでいます....
ここ一宮にはまだ平成の世は訪れていないのでしょうか?
さて、肝心の焼そばですが、この店では蒸し麺では無く自家製の生麺を
茹で、それを専用の鉄板で焼くと言う非常に手間の掛かる製造方法が
取られていますた。
麺には時折薬缶からお湯が注がれ、徐々に焼き色を増して行きます。
さすが一子相伝の技だわ....ロジャーさんが呟きます。
氏によるとこの際ご飯で言う所の「おこげ」状の部分が出来、カリカリと
得も言われぬ独等の食感が生まれるそうです....
あ~っ、お前さん、この先どうするんだっけ?えっ?オレに聞くの?
狭い調理場にご夫婦の微笑ましい会話が響きます....
来ました!こちらがスープです。
ロジャー氏の言によるとラーメンのスープと同じ物だそうですが、
アッサリした鶏ガラ出汁と薄い醤油味が相まって、店構え同様に懐かしさを
感じる正統派のラーメンスープですね....
そしてこちらが件の焼そばです。
麺の上には軽く炒められた細切りのキャベツが載せられ、青海苔が振られて
います。
しかも驚いた事にこの時点では味付けはされておらず、客はキャベツと麺を
混ぜ合わせ、テーブルに置かれたウスターソースで自分好みの味に仕上げる
そうです。
私も作法に従い味付けを終わらせました。早速、食べてみましょう...
こ、これは....
キャベツの甘みに今まで知る焼そばの概念を根底から覆す食感....
決してウスターソースだけでは出し得ない深い味わい....
これなら近頃話題になっているB1グランプリに一宮焼そばとして参戦しても
いい線行くと思います....
こ、これは....
お土産用に頼んだチャーハン大盛は何とファミリーマートの袋に入っていますた...
防府から600キロを走り続け、少し疲れてはいましたが、寄った甲斐がありました。
ロジャーさん感動をありがとう。そしてご馳走様でした。