突然始まる新企画。行政書士試験や公務員試験に役立ちそうな司法試験予備試験の問題をピックアップしていこうと思います。

第一回目は、自転車取締の問題を考えていて、ふと想起されたコチラの論点。


司法試験予備試験短答式H24憲法・行政法13問のアより。
※一問一答のマルバツ問題にアレンジさせていただきます。最高裁判所の判例に照らしてお答えください。

警察法第2条第1項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることなどに照らせば、警察官が、交通取締りの一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無に関わりなく短時間の停止を求めて、運転者など対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法である。



正誤は簡単に判断できると思います。現実に行われていますからねぇ。
ただ、学問的には行政調査の限界等の問題や、組織規範に過ぎない警察法を援用することの可否に関する問題があります。今回は、後者を取り上げます。

<組織規範に過ぎない警察法を援用することの可否>

警察行政においては、警察法は組織規範であり、警察官の具体的な権限について定めるのは警察官職務執行法(警職法)である、というのが通説でしょう。とすれば、警察法の援用は形式論的には困難でしょう。具体的妥当性の観点から判例の結論はやむを得ないと思われますが、立法的な解決が望ましいでしょう。

※参考条文。警察法2条1項、警職法2条1項。

なお、自動車検問は相手方の承諾を前提としているので、不審者を強制的に停止させて質問することは許されません(私見ではこの点も見直しが必要な感があります)。ただし、海上における警察活動については、平成13年の海上保安庁法改正により、船舶進行停止のための武器使用が認められたようです(海上保安庁法17条1項、20条2項)。

※主要参考文献
行政法(第3版) 櫻井敬子 橋本博之 弘文堂


おっと、念のためですが、答えはマルです。



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