行政計画に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 土地利用を制限する用途地域などの都市計画の決定についても、侵害留保説によれば法律の根拠が必要である。

2 広範な計画裁量については裁判所による十分な統制を期待することができないため、計画の策定は、行政手続法に基づく意見公募手続の対象となっている。

3 計画策定権者に広範な裁量が認められるのが行政計画の特徴であるので、裁判所による計画裁量の統制は、重大な事実誤認の有無の審査に限られる。

4 都市計画法上の土地利用制限は、当然に受忍すべきとはいえない特別の犠牲であるから、損失補償が一般的に認められている。

5 多数の利害関係者に不利益をもたらしうる拘束的な計画については、行政事件訴訟法において、それを争うための特別の訴訟類型が法定されている。


<私の解答過程と補足>

1 ⚪ 土地利用を制限→侵害。というわけで、解答を1に確定。なんて簡単な問題なんだ!
※本問は、行政計画に関する問題と見せかけて、実質的には「法律による行政の原理」の知識だけで解ける問題と言っても良いでしょう。

なお、本選択肢のような、国民の権益を制限するような行政作用については、法律の留保につきどの学説であれ法律の根拠は必要でしょ? 一番適用範囲が狭いのが侵害留保説なのだし。この点からも、迷いなく即断即決すべき選択肢だと思います。

以下、今年の試験対策として。


2 × 行政手続法の基本的条文知識。39条1項。

3 × 重大な事実誤認だけで無く、事実に対する評価が合理的であるか否か等についても審査対象となる…ってな近年の最高裁判例があります(最判H18.11.2)。ざっくり覚えておきましょう。

4 × 都市計画法に一般的な損失補償規定があったら、過大な財政負担となってしまい、ひいては住民の首をも絞めるのでは…なんてイメージで押さえておくと良いかも。なお、本選択肢も近年の最高裁判決が題材です(最判H17.11.1)。が、原文を読むべき試験対策上の必要は無いと考えています。

5 × そんな訴訟類型ねーよ。行政事件訴訟法の基本知識ですね。なお、土地区画整理事業計画の決定に処分性を認め、「取消訴訟」の対象となるとした最判20.9.10はしっかり確認しておきましょう。事情判決との関連にも注意を!


さて、行政計画については、本記事で扱っていない重要な判例があるかと思います。思い浮かびます? たぶん、標準的なテキストには載っているはずですが。

ソレについては、「近いうちに」♪



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