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神戸の行政書士山田事務所です。

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最近の新聞やテレビニュースで、高知県大川村のことが出ていますね。

今朝の新聞記事にも大川村のことが載っていました。記事には、昨日6/12に開かれた大川村の村議会で同村長が「村総会」の設置について検討を始めることを正式に表明したとの内容です。

大川村は高知県の北に位置し、愛媛県との県境にある村です。村の人口は約400人でうち有権者は350人の村です。

今回の村総会との話が出たのは、次回2019年の村議会議員選挙において候補者が議員定数6人に満たない可能性が高いことから、総会の設置・運営を検討することとしたとのことです。

大川村は村なので村総会、これが町なら町総会ということです。これら町村総会は字のごとく、町と村にのみ認められた規定です。県や市では総会は認められていません。町村では条例によって、議会を置かず選挙権を有する者の総会を設けることができると地方自治法に規定されています。

地方自治法は行政書士試験の受験科目の1つでしたので、私はかつて学習したことがありました。そのとき、町村総会ということを学習したのを覚えています。私がこの町村総会という文字を見たとき、議会の代わりに町村総会、こんなこと現実にあるのかな・・?と思いました。と同時に、住民が直接政治の取り決めをする直接民主主義、住民の意向が直接反映されていいなあとも思いました。

しかし、この町村総会を現実に考えないといけない自治体の大川村では、そうは言っていられないようです。

大川村は過疎地域なので高齢率はかなり高いようです。こうした村では若者も少なく、議員の成り手がいないそうです。なので、議員定数割れとなれば、村総会を考えなければならないということのようです。

これまで議会で議事を開くには定足数があります。この議会と同じく総会にも定足数があります。総会を開くには有権者の過半数の出席が必要です。大川村のように高齢者が多い村では、総会にどれだけの人数が集まるか、定足数を満たすかとの問題もあります。病気で村外の病院に入院している人もいれば、施設に通所または入所している人もいるだろうし、総会に出席するための交通手段は確保できるのかとの問題もあります。出席数を増やすのは簡単そうで、実は大変なことですね。政治にかかわることと同視はできませんが、私の所属する行政書士会、支部総会もあれば県単位の総会もあり、これらは年に1度の大切な総会にもかかわらず出席率は低いです。委任状出席を含めようやく定足数を満たしているのが現状です。おなじく私の住むマンションの総会も同様の現象が見られます。

また総会は議会に準じるものとの位置づけですから、様々な議題を審議しなくてはなりません。この審議事項を熟慮してもらわなくてはなりません。そのうえで意見の集約ができるか。意見集約して賛成多数ならそのままの内容ですすめればいいが、修正となったときに修正案をその場で纏められるかなども課題ですね。議会であれば会期があるが総会では1日で決議していかなくてはならず、出席者(有権者)の負担も大きいものとなるでしょう。

総会設置には、こうした多くの問題をクリアーしなくてはなりません。

私が地方自治法を学習したときには、ここまでの問題を考えたことはありませんでした。単に総会、との条文とその内容を調べただけでした。

今回、大川村の村長さんが表明しましたが、村長さんの考えとしては、当然ながら村総会に移行したくはないとの思いがあるようです。そのうえで、もしもに備え想定外の想定をしておく必要があるとの考えから、今回の表明に至ったようです。

町村総会はこれまでに東京都の離島の地区(人口は約60人)で1度だけ、しかも50年以上前に実施されたことがあるようです。

今後、日本の過疎地域では、大川村と同じような事態が起こる可能性はあります。そうしたときに、各自治体はどうしていくのか、そして住民はどのように町政・村政に関わっていくのか、これは自分の住む町村の行く末に直結することなので、行政だけでなく住民も一緒になって慎重に検討していくことが望ましいのでしょうね。

今後の大川村の動向に注目したいです。