■A、B、C三人がDから自動車1台を購入する契約をし、その売買代金として300万円の債務を負っている場合に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

 

この場合の売買代金債務は金銭債務であるので不可分債務となることはないため、Dは、A、B、Cに対して、それぞれ100万円の代金支払い請求しかすることが出来ない。
Aは、Dに対して、A、B、C三人のために自動車の引き渡しを請求することが出来るが、Dは、A、B、C三人のためであるとしても、Aに対してだけ自動車の引き渡しをすることが出来ない。
購入した自動車がA、B、C三人の共有となった場合には、Aは、自動車の全部について、その持ち分に応じた使用をすることが出来る。
自動車の売買代金の300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aの債務についてだけ消滅時効が完成した時は、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を逃れる。
自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aについては制限行為能力を理由に契約の取り消しが認められるときには、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を逃れる。


 

 

 

■選択肢

 

1、 ア・イ

2、 ア・ウ

3、 イ・エ

4、 ウ・オ

5、 エ・オ

 

 

 

 

■解答

正解は 4

 

 

 

 

■解説

 


×

この場合の売買代金債務は金銭債務であるので不可分債務となることはないため、Dは、A、B、Cに対して、それぞれ100万円の代金支払い請求しかすることが出来ない。

■解説■
本来可分給付の性質を有する金銭債務でも、不可分的な利益供与の対価であるときは、性質上の不可分債務となる。(民法428条、430条参照)
したがって、300万円の代金債務は、自動車1台という不可分な利益供与の対価であるから、Dは、A、B、Cに対して、それぞれ300万円の代金支払い請求をすることが出来る。


×

Aは、Dに対して、A、B、C三人のために自動車の引き渡しを請求することが出来るが、Dは、A、B、C三人のためであるとしても、Aに対してだけ自動車の引き渡しをすることが出来ない。

■解説■
A、B、Cの自動車引き渡し請求権は、性質上不可分債権である。
そして、債務者はすしたがって、Dは、A、B、Cのために、Aに対してだけ自動車の引き渡しをすることが出来る。


購入した自動車がA、B、C三人の共有となった場合には、Aは、自動車の全部について、その持ち分に応じた使用をすることが出来る。

■解説■
各共有者は、共有物の全部について、その持ち分に応じた使用をすることが出来る。(民法249条)
したがって、Aは自動車の全部について、その持ち分に応じた使用をすることが出来る。


自動車の売買代金の300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aの債務についてだけ消滅時効が完成した時は、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を逃れる。

■解説■
連帯債務者の一人に時効が完成した時は、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者もその義務を逃れる。(民法439条)
したがって、Aの負担部分については、BもCもその債務を逃れる。


×

自動車の売買代金300万円について、A、B、Cの三人が連帯債務を負担する場合において、Aについては制限行為能力を理由に契約の取り消しが認められるときには、Aの負担部分については、BおよびCも、その債務を逃れる。

■解説■
連帯債務者の一人について法律行為の取り消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。(民法433条)
したがって、Aについて制限行為能力を理由に契約の取り消しが認められるとしても、B及びCの債務には影響しない。



 

 

 

 

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