■教本収入32億円

 公益法人などを対象にした政府の「事業仕分け第2弾」後半戦が始まった20日、財団法人「全日本交通安全協会」が携わる運転免許更新時講習の“利権”が取り上げられた。毎年約1500万人のドライバーが利用する講習の資料作成は、協会がほぼ独占する事業。仕分けでは「協会の独占を廃して、コスト削減をすべきだ」と判定された。

 ◆「資料活用されず必要ない」

 安全協会には平成20年度まで、国から毎年約1千万円の補助金が支出されていた。常勤役員5人のすべてが元官僚。常勤職員29人のうち3人も警察庁からの天下りだ。

 講習手数料は700円から1700円で、別途更新手数料として2550円を払わなければならない。講習時に毎回資料が配られるが、20年度はすべての都道府県で、安全協会の教本を使用。納入冊数は年約1400万部に上り、仕分け人は「隠れたベストセラー」と皮肉った。

 協会側は「安全意識を高めるために資料は必要だ」と説明したが、仕分け人側からは「実際の講習は視聴覚教材などによる講習が中心であり、資料は活用されておらず必要ない」と断じた。

 さらに、協会の調査で、講習時に配布された資料の約4割が捨てられてしまい、持っている人でも半分が読んでいないことが判明。仕分け人の蓮舫参院議員は「読んでもらえるよう努力しているのか」とあきれた。

 安全協会の20年度の収支報告書によると、協会の事業収入は約37億円、そのうち「講習用教本」の収入が約32億円と大半に上る。仕分け人がこの日提出した資料では、優良運転者講習料1人当たり700円の内訳は、人件費が300円、資料費は315円。

 仕分け人側は「ある県では『警察庁の監修で当協会が発行しており、ほかからは購入できない』ことを随意契約の理由として公表している」とした上で、「協会が独占受注する構造になっている」と強調した。

 また、資料内容をインターネット上で公開すれば、資料を配布する必要がないことが指摘され、協会側は「著作権の問題があるので…」と苦しい弁明に追われた。

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