取り調べ全過程の録音・録画(可視化)と捜査の高度化を検討する中井洽国家公安委員長の私的研究会の初会合が5日、警察庁で開かれた。現在は一部にとどまる可視化の拡大範囲や司法取引などの新たな捜査手法、犯罪のトレーサビリティー(追跡調査)を高める手段などについて、約2年間かけて検討する。

 初会合には、警察や検察OB、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、ジャーナリストら有識者12人の委員全員が参加した。

 警察と検察は現在、取り調べの一部の録音・録画(一部可視化)を実施している。警察は殺人などの重大事件のうち、容疑者が自供し、将来の公判で自供の任意性に争いが生じる恐れのある事件が対象。検察も08年4月以降、原則として自供した裁判員裁判対象事件で実施している。

 冤罪(えんざい)防止策としての可視化をマニフェスト(政権公約)で掲げた民主党が昨年の総選挙で勝利。菅家利和さん(63)の無罪判決が確定的な足利事件で、全面可視化がクローズアップされたこともあり、研究会の議論は、可視化の範囲を拡大する方向で進む見通しだ。

 ただし、全面可視化を実施している諸外国は、罪を認めたり共犯者を告発する代わりに刑を軽減する「司法取引」や「刑の減免制度」など、取り調べ以外に多くの捜査手法が認められているケースが多い。中井国家公安委員長が指示する捜査の高度化の検討は、こうした現場の実情に配慮したもので、防犯カメラの増設なども議論の対象となる可能性がある。【千代崎聖史】

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