中学校の旧校舎から白骨化した死体が発見される。

側には、ずっと昔に盗まれて消えた一つの楽器が置かれていた。

 

それは主人公が中学生の頃に始まった事件で、

ある日、吹奏楽部に所属している部員の楽器が消えた。

 

誰が何の為に盗んだのかは不明のまま時は流れ、

主人公は吹奏楽部での青春時代を過ごしていく。

 

音楽で一発逆転を狙いながらも芽が出ないジレンマ。

 

年度が替わるも部長や副部長に推薦されることはなく、

直向きに練習したところで才能のある若手に追い抜かれ、

扱う楽器を変え、遂には音楽から距離を置いて逃亡するように留学する。

 

劣等感やジレンマに付きまとわれながらもアメリカでの生活に精を出し、

意中の相手を見つけて詩の発表に情熱を傾けるも開花せず、

意気消沈のまま日本に戻った主人公が新たに取り組んだのが執筆だった。

 

小説を書いて人生の一発逆転を狙おう。

でも、何を書こう?

 

そこで主人公は、ずっと気になっていた事柄を小説に落とし込む。

 

それは中学校の旧校舎から白骨化した死体として発見された旧友と、

かつて吹奏楽部で騒ぎを起こした楽器の盗難事件だった。

 

そもそも旧友は、何故旧校舎などという誰も使うことのない校舎、

しかもそこの天井裏などで死んだのか。

 

意外性を備えた作品として質を高める為、

取材をしながら執筆に取り組み始めた主人公は……

 

っていう、回想を経て予想外の死の謎を解き明かす話。

 

冒頭で白骨死体の発見が明示されるも終盤近くまでひたすらの回想で、

主人公という一人の少年がどのように成長していったかを切実に描いている。

 

音楽に傾倒し、詩に傾倒し、けれども挫折ばかりを味わい、

それでも成功を夢見てあがく様は誰にでも共感できる部分がありそう。

 

で、終盤となり作品執筆という名目で、あくまでフィクションとしての辻褄合わせを始めるが、

そこから導き出されたのは予想外の真実だった、と。

 

確かに予想外だし意外性もあったけど、ぎりぎりフェアか? と思える部分もあったような。

 

まあ、そういったフェア、アンフェアというのは些末なことで、

終盤の畳み込んでいくような陰鬱さがカタルシスになっているのかな。

 

気分的にはどんよりとしているのに読み応えはすっきりという一冊で、

読み易いこともあって一気に読み終えてしまった。