ある日、全ての人が長期的な記憶能力を失った。
覚えていられるのは十数分間のみ、リミットと同時に記憶は失われてしまう。
メモを残さなければ自分が何をしていたのかも分からなくなる記憶障害。
その発生直後こそ大混乱が生じたものの、人々は適応していく。
必要なメモを残し、十数分毎に記憶が失われようと正しく現状を把握し、
何をしなければいけないのかを模索して進んでいく。
やがて大忘却の期間は過ぎ、人々は外部記憶装置に寄り添って生きていた。
肉体に据え付けたソケットに外部記憶装置を差し込むことで記憶を維持する。
だが、新たな生活にも相応の障害はあった。
外部記憶装置が外れてしまえば、十数分間で記憶は失われてしまう。
大忘却以後に生まれた人類は生まれた瞬間から長期記憶を維持できない為、
外部記憶装置が外れると十数分間で全ての記憶の失ってしまう。
外部記憶装置が他者に挿入されてしまえば、肉体はそのままに、
記憶だけが入れ替わってしまう。
新たな環境で生きていく人たちに起こることとは……
っていう、記憶について焦点を当てた話。
二吉君が登場したミステリっぽい要素はほとんどなく、
SF的な雰囲気で様々な混乱や生活が描かれている。
一応長編ではあるけど語り部も様々で全体的な繋がりは薄い。
なので不可思議な世界で起こるあれやこれやを垣間見て楽しむといった感じだった。
みょうちきりんな会話の応酬という著者の持ち味が活かされている第一部が好み、
パソコンを勝手に触られた男のセリフには笑ってしまった。