嵐によって外界と隔たれた山荘に集ったのは偶然のはずだった。

 

山荘の持ち主である男に焦がれている友人に連れられた語り部は、

山荘に到着するや嵐で行き場をなくした人らと出会い、

彼らと共に山荘で夜を過ごす。

 

だが、ひょんなことから諍いが起こり、

語り部はあっという間に六人もの人間を殺してしまう。

 

悪夢のようなドミノ殺人に頭を抱えた語り部だったが、

知らぬうちに殺害されている友人を前にして妙案を思いつく。

 

この友人だけは私が殺したのではない、他の誰かが殺した。

そしてその誰かは、私が殺した六人の中にいるはずだ、と。

 

では、全ての殺人をその誰かに押し付けてしまえばいいのでは?

 

嵐によって閉じ込められた山荘に残されたのは語り部一人だけ。

残された手掛かりから推理を始めるが……

 

っていう、まさかの語り部の連続殺人発生から推理が始まる話。

 

そんなつもりはなくとも六人もの人間を殺してしまった語り部が、

どうにか無実を勝ち得る為の手段、それが別個の殺人の解明という展開が面白い。

 

しかも犯人は既に語り部によって殺されているっていう。

 

中盤辺りから色んな未解決事件の話がちらほらと出て来て、

これはつまりそういうことかと思ったら、そういうことだった。

 

ただ、そこから更に最後の一行で驚きの展開を持ってきたのにはやられた感じ。

 

その点については伏線めいたものが希薄に思えなくもないけど、

いまいち影の薄かった先生の存在感が一際浮き立ったように思える。