三編で構成された短編集。

 

人獣細工

少女は体が弱く、幼い頃から移植手術を繰り返していた。

そして移植する皮膚や臓器の持ち主は、豚だった。

 

手術を行っていた父が亡くなり、その研究資料の整理を始めた少女は、

自身の体のほとんどが豚のものであることを改めて思い知る。

 

私は人なのか、それとも豚なのか。

一体、父は何を目的に移植手術を繰り返していたのか。

 

残された資料から、少女が導き出したものは……

 

吸血狩り

まだ八歳の男の子は、田舎で過ごす一時、

従姉と遊べることを楽しみにしていた。

 

けれど十五歳になった従姉は子供とばかり一緒には過ごせない。

一人で行動する時間を持つようになった従姉は、妙な大男と会っていた。

 

大男と戦わなければならない。

 

男の子はにんにくや十字架、杭といったもので大男に戦いを挑む。

 

その果てに待つものは……

 

小学生の頃の同級生から一冊の本が届く。

本は送り主が執筆したものらしく、内容は小説らしいものの混沌としていた。

 

本の始まりには読み方のルールさえ記されていたが、

主人公はルールを無視して飛ばし飛ばし読み始める。

 

同時に送り主である同級生について調べていると、

主人公の身の回りで段々と不可思議がことが起こり始めた。

 

本に関わった人たちが異常な行動を起こしている。

 

本自体に呪いが込められているのか、それとも……

 

っていう、不条理やら不可思議やらが詰め込まれた話。

 

中でも不可解で分かりにくいのは「本」で、

文章そのものに欺瞞があるような、メタフィクションも含んだ奇妙なものになっている。

 

読めば精神に異常を来たすっていうドグラ・マグラにジョークめいた描写を散りばめた感じ?

 

笑える描写なのに不気味が勝るっていう構成は面白かったけど、

やたらと長かったので読みにくい部分もあった。

 

個人的には吸血狩りの、無垢と思われる感情が凶悪なものに変化するオチが良かった。

 

あ、どれもミステリ的な要素はほとんどない。