五編で構成された短編集。
完全・犯罪
男はタイムトラベルの理論を完成させたものの、
発表に先を越されて名声を得ることは出来なかった。
悔しがる男だったが、ふと一つの計画を思い立つ。
せっかくタイムトラベルを確立させたのだから、
過去に戻って先を越した者を殺害すればいい。
だが、計画を実行に移すことで不可解な現象が生まれて……
ロイス殺し
男はロイスを殺すことを夢見て生きていた。
大切な人を殺され、復讐することだけを目的に街から街へ、
男は転がり落ちるように、いつしかギャングになっていた。
そして同じギャングの仲間としてロイスを見つけ、
上辺だけの親交を持ちながら復讐の機会を待ち……
双生児
私と彼女は二人でありながら一人だと思っていた。
両親は私に対して私と彼女の名前で呼んだし、
彼女に対して私と彼女の名前を読んだ。
双生児であり、存在は共有されているはずだった。
けれど成長と共に私と彼女は区別されていく。
私は私であり、彼女は彼女として生きていく。
私と彼女は別々の人間、そうなったはずなのに……
隠れ鬼
ある日、男は理不尽なほど唐突にホームレスから追い掛けられる。
危機一髪で逃げ切った男の脳裏に浮かんだのは、
少年時代の一時だった。
参加したくなかったのに強引に参加させられた、
一人の人物をいじめる為の隠れ鬼。
あの時、いじめられた人物はどうなったのか……
ドッキリチューブ
一般人にドッキリを仕掛けてネットで配信する、
それは新手の事業で、男は社長をしていた。
けれど社員への給料を使い込んでおり、
不満を募らせた社員との間に険悪な空気が流れる。
詐欺に遭って金を失った、
そんな嘘で場をやり過ごそうとする男だったが……
っていう、ブラック・ユーモア的な薄気味悪さと苦笑いの溢れた話。
どれもミステリっぽい謎解きは薄いものの趣向が違うものばかりで面白かった。
個人的なベストはロイス殺しかな。
ちなみにドッキリチューブは世にも奇妙な物語で映像化されている。