最悪の性格ながら冷徹で優秀な新藤礼都が登場する連作短編集、
続編となり六話で構成されている。
基本的には毎回語り部が異なり、
そこに新藤礼都が登場する流れなので今作からでも読めないことはない。
ユーチューバー
語り部はフリーの記者で、
まだ情報公開されていない事件の匂いを嗅ぎ付ける。
立てこもりが発生しており、警察が踏み込みの機会を狙っている。
独自に取材が成功すれば一躍有名になれると勇むも、
現れた新藤礼都に不審者扱いされてしまう。
新藤礼都はカメラを構え、ユーチューバーとして活動しているという。
語り部は新藤礼都の構えるカメラに着目し、
交渉の末、カメラを借りて事件の取材を始めるが……
っていう、報道の自由を皮肉った話。
相変わらず胸糞悪い人物を描くのが上手いというか、
報道の自由を高らかに宣言して事件を引っ掻き回す語り部が鬱陶しく、
だからこそ予想しやすいオチにもすかっとする部分があった。
メイド喫茶店員
語り部はメイド喫茶で働いていたが、
新たに入った新藤礼都の教育係となり指導を行うことになる。
三十代半ばから後半と思しき新藤礼都に愛想はなく、
仕事をさせても突拍子もないことを仕出かして問題を起こす。
新藤礼都は職場でも浮いた存在となるが、
何故か語り部には寄って来て……
っていう、一つの罪を冷徹に暴き出す話。
金の為ならメイド喫茶にさえ出向く新藤礼都に驚くも、
やっていることはいつもと変わらないので妙な安心感があった。
新藤礼都の性格の悪さが分かりやすい。
マルチ商法会員
語り部はマルチ商法を行い会員を集めていたが、
会員の一人である新藤礼都が連れて来た人物により問題が生じる。
その人物は子供を連れており、
会員になるのは良いが子供を預かってほしいと訴えた。
一人でも多くの会員を欲する語り部は引き受けて子供を預かるが、
新藤礼都の言葉にしか従わない子供は……
っていう、ひたすらに暴力的な話。
相変わらずグロ描写が徹底しているというか、
別に新藤礼都がいなくても成立する話にも思えた。
ナンパ教室講師
語り部は東大入学を目指す浪人生で、
ふとしたことからナンパ教室へ通うことを決める。
だが、そこの講師として現れたのは女性である新藤礼都だった。
ナンパとは縁の無さそうな五人の生徒と講師である新藤礼都、
そして語り部は新藤礼都に一目惚れをするが……
っていう、無意識の害悪を暴き出すって話。
新藤礼都に興味を持たれた時点で詰んでいるように思えてならない。
鶯嬢
政治家を目指す男と鶯嬢をしている新藤礼都は交通事故に遭い、
目が覚めた時、語り部は政治家の男の肉体となっていた。
本来であれば新藤礼都であるはずなのに、精神が入れ替わった?
しかし本当のことを言っても誰も信じないどころか、
精神的な異常を察知してしまうかもしれない。
語り部は政治家を目指す男になり切って話を合わせるが、
以前の男は賄賂を渡したりと、あくどいことをしていたと知り……
っていう、びっくりさせたれ精神と奇怪さが合わさった話。
改めて冒頭を読むとにやにやする反面、
語り部の知る事柄から確かな奇怪さが存在するってのが分かる。
やや幻想的でもあり、個人的にはベストかな。
探偵補佐
語り部は探偵をしており、その補佐として新藤礼都を雇っていた。
新たな依頼が入り、新藤礼都に調査を命じる。
クライアントの望みは、病院に誤診があったと証明すること。
新藤礼都はすぐさま調査報告を持ってくるが……
っていう、どこに悪があるのかを究明する話。
誰が悪いのかは一目瞭然ながら、
法律的な観点で言えば不明瞭になってしまう。
そこら辺を胸が悪くなるように追及するも、
オチはややありきたりで分かりやすかったかな。
新藤礼都の存在感が段々と薄れていくのもオチに繋がるようで良かった。