五編で構成された、どんでん返しをテーマにした短編集。

 

神様 / 秋吉理香子

神待ちをしている家出少女は、

神が降臨すると噂のファストフード店内で一人の少女と出会う。

 

少女は同じく神待ちをしている身であり、

神との交渉術や、より高くお小遣いを貰える方法を教えてくれる。

 

降臨した神に少女から教わった方法を使おうとするが……

 

っていう、いわゆる援助交際を扱った話。

 

少女たちによって変換された言葉がどこか幻想的で雰囲気はいいものの、

いまいち盛り上がりは少なかったかな。

 

とある殺人事件が絡んでくるも、謎解き要素はほとんどないし。

 

青い告白 / 井上真偽

少年からすれば傲慢で不遜でしかない一人の教師は、

けれど周囲から支持を集める素晴らしい先生だった。

 

そんな先生の作った勉強会に入っていた少女が死んだ。

 

少女は崖から飛び降りており、自殺か事故かは不明確だった。

そして後日、素晴らしい先生は遺書を残し、少女と同じ崖から飛び降りた。

 

二つの死には何か関連があるのか?

 

少年は独自に痕跡を探るが……

 

っていう、原因を追究する話。

 

少女の死が自殺か事故かにより先生の評価が分かれるという構成も良かったし、

何より原因判明からの探偵役による言及が良かった。

 

最後の一言はいささか青臭い気がしないでもないけど、

殺伐とした空気を引きずるよりはいいかな。

 

個人的には本作がベスト。

 

枇杷の種 / 友井羊

男は粛々とした態度を貫き工場での仕事をこなしていた。

 

だが、死体を発見してしまったことで男の生活に変化が生まれる。

男には知られたくない過去があった。

 

殺人事件の捜査が始まるとともに男のもとにも警察が訪れる。

 

現場から消えたと思しき金、連続殺人事件としての可能性、

そして贖罪を求める男の行き着く先は……

 

っていう、いかにもミステリの短篇って話。

 

淡々とした描写で今一つ盛り上がりに乏しかった。

どんでん返しというか、男の過去も、うーん、という。

 

あからさまに誤解させよう感があって好みに合わず。

 

それは単なる偶然 / 七尾与史

ある男は階段から落ちたことで一時の記憶を失っていた。

 

催眠療法によって男の空白の記憶を呼び戻す中で、

一つの殺人事件の謎が解き明かされるも……

 

っていう、催眠療法による対話で進む話。

 

これってどんでん返しなのかなと思わないでもない上に、

いくら急場でも居合わせる刑事が知らないのは無理がありそう。

 

いや、フィクションなんだから突っ込んでも仕方ないけど。

 

札差用心棒・乙吉の右往左往 / 谷津矢車

ある男が五両もの大金を貸してほしいと頼んできた。

 

その男の不審さを調査することになった男は、

関係者から話を聞き出して依頼主のもとに戻る。

 

調査の結果を聞いた依頼主は颯爽と立ち上がり……

 

っていう、時代物のミステリってな話。

 

時代物は苦手なのでやや怯みながら読んだけど、

事件自体は素直な構成で読み易かった。