物体の記憶を読み取るサイコメトリーをテーマにした連作短編集。

 

3時10分の死

海外へ旅行に出たはずの男が死体で発見された。

死体は自宅にあり、被害者はパジャマ姿で寝ているところを襲われたようだった。

 

3時10分を示して壊れた時計、それは被害者の死亡推定時刻と思われた。

 

目撃者の証言から一人の男が浮かび上がるも、

その男の所持品の記憶を読み取った主人公は男のアリバイを確信する。

 

親戚である刑事と共に辿り着く真相とは……

 

鋏の記憶

主人公は知人の家で鋏に触れ、その記憶を読み取ってしまう。

鋏には子供を刺す記憶が鮮明に残っていた。

 

誰が誰を刺したのか?

刺された子供はどうなったのか?

 

刑事である親戚の協力を得ながら真相を探るうちに、

驚くべき秘密が明らかとなり……

 

弁当箱は知っている

男は若く美しい妻を持ち、妻は毎日弁当を作って愛情を示していた。

 

その妻が過去の因縁から男のもとを去る。

過去、妻は悪い男に騙されており、その男は殺人を犯していた。

 

男が出所すれば、必ず復讐に来る。

 

妻はそれを恐れて夫のもとを去り、そして夫は何者かに殺される。

 

犯人は出所した男なのか、それとも……

 

猫の恩返し

妻も子も亡くして茫洋と生きる男は、一匹の猫と出会って生活に張りを取り戻した。

その猫が姿を消し、代わりのように彼女が現れる。

 

彼女は男の亡くした子の同級生だった。

 

彼女は初めて男の家を訪ねたはずなのに、

何故か家に井戸があることや、仏壇のある部屋さえ知っている素振りを見せる。

 

まるで長く住んでいた猫のように。

 

彼女の正体とは……

 

っていう、物体の記憶から驚くべき真実が浮かび上がる話。

 

今一つ主人公の能力がふわっとしているというか、

何となく見えちゃうっていうあやふやな感じが謎を引き立てている。

 

何が見えても明確な証拠にはならないし、裏付けが必要になってくる。

 

そんな中で刑事と共に真相を探るって展開は良かった。

ちと淡々としてたし、いまいち主人公を含む登場人物の背景が薄かったけど。

 

四編の中だと 3時10分の死がベストかなー、後味の悪さも含めて。

 

で、猫の恩返しはまるでライトノベルというか、

やたらと軽い文体だったので妙に浮いた話だった。

 

連作短編集として読んだら繋がりは薄いので読みやすい反面、

同じような構成の話が四つっていう、やや物足りなさもあるかも。