二編の中編、というか二章に分かれた一冊。

 

フラニー

フラニーは七人兄妹の末っ子であり、

大学で演劇をしながらの生活、そして久し振りに恋人と一時を過ごすことになる。

 

駅で恋人と待ち合わせ、レストランへ。

 

そこでの食事は楽しいものになるはずだったが、

恋人の言動、その全てにフラニーは反発、或いは言及して場を白けさせてしまう。

 

恋人の論文自慢から始まり、演劇や生き方、才能について、

会話の矛先は変化し、そのことごとくをこき下ろさずにはいられない。

 

盛んに汗を浮かばせ、トイレに立てば個室に入ってさめざめと涙を流し、

戻ってくれば変わらず攻撃的な姿勢で恋人と相対する。

 

フラニーの変化は、持ち歩いている一冊の本にあるようだった。

 

恋人が本について質問をすると、ある巡礼者の話が始まる。

 

ただひたすらに祈り、言葉にすることで素晴らしい体験をする巡礼者、

フラニーはその話をしながらも不安定さを露呈し……

 

ズーイ

シャワーを浴びているズーイに対して母親が告げる。

末っ子のフラニーの様子がおかしい、チキンスープさえ口にしない。

 

兄であるズーイは母親の狂信的な心配を受け流していたが、

渋々の様子でフラニーの様子を窺うことになる。

 

フラニーは恋人との一時を台無しにしたこと、

そして自身の精神が何かおかしなことになっていると告げた。

 

フラニーとズーイの会話は繰り返され、蒸し返され、混迷へと向かう。

ズーイがどれだけ言葉を尽くしたところでフラニーの精神は救われない。

 

七人兄妹のグラス家がどれだけ気狂いの集まりであることを説いても、

天才的な兄二人の教育を受けた自分たちがどれだけ歪んでいるかを説いても、

フラニーは失望し、絶望し、おかしくなったままで変わらない。

 

遂に諦めたズーイは、かつての兄二人の居室へ入り、そこから電話を掛ける。

受話器にはハンカチを押し当て、なかなか連絡の取れない兄の名を使い……

 

ってな感じの、グラス家の二人に焦点を当てた話だった。

 

一冊の宗教的な本から祈りや神に疑問を抱き、

精神的な不安定さを発症させたフラニーをズーイが弁舌により救うって感じ。

 

およそ会話劇なんだけど、何度も繰り返されるやり取りやら詩的な表現やらが混じり、

フラニーの肉体的な変調なども描写されることで妙に閉塞的な気持ち悪さがあった。

 

もちろん気持ち悪いままでは終わらないけど、ちょいと哲学的過ぎるというか、

徹底的に個人に固執した描写なので理解はしにくかったかな。

 

個人的には長々と、もう本当に一冊丸々喋るのかってくらいのズーイが、

諦めたかと思ったら兄の名を騙り、それでもフラニーを救おうとするのにぐっときた。

 

支離滅裂でぐっちゃぐちゃの中に安直さがあるってのは良い展開だなーと。