8編で構成された短編集、収録作品は以下の通り。
赤の追想
椛山訪雪図
紳士の園
閏の花嫁
煙の殺意
狐の面
歯と胴
開橋式次第
内容は幅広くというか、ミステリ的な要素を含んだものもあり、
強烈なオチが用意されたものもありと、どれも面白かった。
1980年くらいに書かれたものらしいので、ちょいと文章に癖はあったけど。
個人的には紳士の園と煙の殺意が良かった。
紳士の園
刑期を終えて自堕落な生活を送る男が、同じく刑期を終えた先輩と出会い、
公園でスワン鍋をご馳走になる。
公園の白鳥を勝手に捌いての振る舞いも紳士然とした先輩のせいでどこか優雅、
そこに唐突に現れる死体と、見て見ぬふりを決め込む二人。
そして翌日、何者かによって隠された死体、消えたスワン鍋の残骸から、
先輩が導き出した結論はどこか超然としている。
煙の殺意
殺人事件の現場でもテレビから目を離せない警部、
死体を恍惚として取り扱う技官、そしてテレビで報道されているビル火災。
二つの現場が何気ない会話やインタビューによって結び付くのも面白いが、
ユーモアたっぷりの会話が際立っていた。
その他の短編も読みやすく、いきなり長編を読むよりはいいかも。
と言っても長編は [しあわせの書] と [生者と死者] しか読んだことないけど。