フリーターからプータローになった主人公はサーフィンに興じていた。
彼女ともぎくしゃくして、憂さ晴らしのようなサーフィンの最中、
波にもまれて意識を失ってしまう。
目覚めたのは自動販売機すらない海岸、
死ぬような思いでさ迷った末に倒れる間際、誰かに助けられる。
次に目覚めれば古びた家で、そこでは戦争の真っ最中だった。
ドッキリ? テレビの撮影で自分に焦点が当てられているのか?
困惑しながらも本当の戦争を経験し、ここが過去であることを認めた時、
見知らぬ誰かが主人公を脱走兵として捕らえた。
連れていかれた先で強烈な罰やしごきを受けながら、
主人公は自身が飛行兵の誰かと間違われていることを知る。
誰も気付かないほど、その誰かは自分に似ているのか?
いや、それよりも戦争の真っ最中で兵隊になってしまった自分はどうなるのか?
一方で兵隊としての日々を送るもう一人の主人公は、初めて単独で飛行訓練を受けていた。
しかし戦闘機は不意の墜落、意識を失った主人公は目覚めた矢先に困惑する。
白衣の女の丈は短く足は露わ、看護婦かと思えば言葉遣いは妙に間延びしており、
外に飛び出せば異界かと思うほどの建物ばかり。
あちこちで英語が見られるということは、ここは憎きアメリカなのか?
狼狽する主人公を引き取りに現れたのは三人の誰か、
そして三人ともが主人公のことを別の名前で呼んだ。
自分は誰かに間違われているのか?
一体、ここはどこなのか?
連れ帰られた家で歴史の本を目の当たりにした主人公はようやく気付く。
本には自身が戦っていた戦争の敗北と、その先の歴史が記されていた。
およそ五十年の時を超えてしまった主人公は元の時代へ戻る策を練るが、
一方で恋人であるらしい彼女に惹かれて……
っていう、時代を超えて入れ替わってしまった二人の人生についての話。
現代の主人公と過去の主人公の描写が交互に、短いと一ページくらいで切り替わるので、
ああ、こっちの話の続きが読みたいのに、となってさくさく読み進められた。
基本的には主人公二人から見た時代の相違が描かれていて、
そういった部分だと過去の主人公の視点の方が面白かった。
何しろ現代の主人公の描写だと戦争やらしごきやら体罰やら訓練やら、
ほとんど馴染みのない描写ばかりなので。
過去の主人公は冷房やらポットやら車やら身近な何もかもに驚きながら、
自身を恋人と認識している彼女を愛しく想い、惹かれていくっていう。
ちょいと蛇足というか、やたらと長いのが気になった頃に運命めいためぐり逢いが連続し、
この入れ替わりには何か意味があるのか? って主人公と同じ考えを持つも……
終わり方はまあ、こんな感じかー、っていう。