何冊か積んでいる岡嶋二人の一冊。
自身の結婚式の為に海外から日本へと戻った主人公だったが、
恋人は結婚前の沖縄での旅行先にて急性虫垂炎を患い入院していた。
すぐさま沖縄へ向かった主人公だが、病院で再会した恋人は奇妙な状況に陥っていた。
女友達と一緒に旅行へ出たはずなのに、女友達は姿を消していた。
とある島へ観光へ出たはずなのに、見知らぬ男と旅館に泊まったことになっていた。
入院の手続きなどは全て見知らぬ男によって行われていた。
恋人は急性虫垂炎にて倒れたショックで記憶を曖昧にしており、
何が事実なのか、何が起こったのか、一切が定かではない。
状況から判断するに恋人は男と沖縄へ旅行に行き、そこで倒れ、
その男によって病院に運ばれた。
女友達のことは全て嘘で、結婚前の禊ぎとして男と一時を過ごしていた。
真実に向き合うことを恐れる主人公だが、直近の記憶を失っている恋人は告げる。
「私を信じて」
見知らぬ土地で恋人に何が起こったのか?
一人調査を始めた主人公は、隠された一つの事件を追うことになる。
という岡嶋二人らしいユニークな謎が提示されてからのサスペンスっぽい一冊。
こりゃ単なる浮気じゃないって前提からの事件の謎を追う姿は淡々としているものの、
相変わらず登場人物が味わい深くて、主人公の思い悩む姿も爽快感に繋がっている。
特に謎が解明されてからの主人公の言動は穏やかながら救いになっていて、
全体的に地味な感じながら心地良い読後感があった。
およそ 30年くらい昔の本なので、携帯電話やらネットやらが普及している現代だったら
この話は破綻するだろうな、と思いながらも岡嶋二人(もしくは井上夢人)だったら
ハイテクを駆使してこの話を面白おかしく仕上げてくれるんだろうな、って気がする。
終盤でいきなり板良敷って人が登場して名前にインパクトがあるなと思ったら、
どうやら沖縄方面に多い苗字のようで。
さて、次は何を読もうか……積んでるのが少なくなってきた。