親から「養育費を返せ」の法的義務 | 児童虐待を機器で検知!児童虐待防止システム機器普及裏話

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親から「養育費を返せ」と言われる子どもは少なくないようです。弁護士ドットコムには、親から「今までかかった学費・養育費・免許取得代を借金してでも返せ」というメッセージを受け取り、困っているという相談が寄せられています。

相談者は「返還する義務はあるのか」「義務がないようであれば放置しても問題ないのか」といった疑問を持っているそうです。

また、別の女性はSNSで同じように母親から「養育費の返還」を求められ、数百万円を渡して金輪際、関わらないように「絶縁状」を書かせたいと投稿していました。

そもそも、「養育費の返還」をする義務はあるのでしょうか。また、こうした「絶縁状」に法的な効果があるのでしょうか。門倉洋平弁護士に聞きました。

●子どもに養育費の返還義務はない

――養育費の返還を求められるのは、毒親を持つ子どもにとって「あるある」ですが、子どもは応じなければならないのでしょうか。無視しても問題ないのでしょうか。

自身が未成年のときに親に支払ってもらった生活費については、大人になって親から返還を求められても、返還する必要はありません。

もし、子どもが支払ってもらった生活費が、親から借りたものであれば借金となりますので返す必要がでてきますし、あるいは、何ら法的根拠なく受け取ったものであれば不当利得として、やはり返す必要がでてきます。

しかし、そもそも、親は、未成年の子に対して、扶養義務を負っています(民法第877条第1項)。未成年の子どもが親に生活費を支払ってもらうのは、この扶養義務を履行してもらっていることになります。

つまり、生活費のお金を貸してもらったり、何らの法的根拠なく受け取っているわけではないため、後になって、親が「返せ」ということはできません。

仮に、借用書のような文書が残っていたとしても、そもそも未成年の子が親からお金を借りる際は親権者の同意が必要となりますが、この場合は利益相反になるため、子について特別代理人を選任する必要が出てくるなど、結果として有効な借用書とは言えない可能性が高いです。

ちなみに、この親が未成年の子どもに対して負う扶養義務は、生活保持義務とされ、親は自身と同じ水準の生活をさせる義務があります。

●法的に親子が絶縁することはできない

――いっそ親に養育費を返還して、絶縁したいという子どももいるようです。その際「絶縁状」などに法的な効力はあるのでしょうか。

絶縁状は、親子の縁を切りたいという気持ちを明確に伝える手段にはなりますが、絶縁状を送っても法的な親子関係を絶つことはできません。

法的に実の親との親子関係が切れるのは、特別養子縁組(民法第817条の2第1項)という特別な場合に限られます。

どうしても親と関わりを持ちたくないということであれば、居場所を明かさずに転居したうえで、分籍する(別の戸籍を作る)ことも選択肢かと思います。分籍をしても親子関係は存続しますが、双方にとって心理的に距離を置くきっかけになるかと思います。

また、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為、児童虐待などの被害者に該当する場合には、住所地の特定につながる「戸籍の附票」や「住民票」について、自治体に閲覧等の制限の申し出をすることができますので、この制度を利用することも良いかもしれません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47112709bb6d7943de47ad159600e2fe7759a546

エビデンス

扶養義務者民法第877条第1項
① 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 ② 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる


扶養義務者とは、民法第877条第1項に定める者(父母、祖父母、 曽祖父母、兄弟姉妹、子、孫、曽孫)のことで、かつ受給資格者世帯 と生計をともに維持する者をいいます。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

特別養子縁組とは民法第817条の2第1項
1. 特別養子縁組の制度は、低年齢の未成年の子について、その子の利益のために特に必要がある場合に、家庭裁判所の審判によって、養子と実方の血族との親族関係を消滅させて、実親子関係に極めて近い養親子関係を成立させる縁組制度である。2024/05/05
https://www.moj.go.jp/content/001270407.pdf