クモの糸から発想?微生物が作る新素材「ブリュード・プロテイン」が服を変える

 

 

※本記事はPRを含みます。

未来の服は、石油や動物由来素材だけに頼らず、微生物の発酵から生まれるかもしれません。

日本のバイオベンチャーSpiberが開発する「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン)」は、植物由来の主原料をもとに、独自の発酵プロセスで作られる構造タンパク質素材です。クモの糸に着想を得た研究から発展し、今ではファッション、アウトドア、ライフスタイル分野で注目される新素材になっています。

「クモの糸から作った服」と聞くと、少し不思議な印象を受けるかもしれません。ただし、実際にクモの糸を集めて服にしているわけではありません。

Spiberが展開しているのは、クモの糸など自然界の構造タンパク質から着想を得て、微生物発酵によって作る人工タンパク質素材です。現在は「Brewed Protein™」という素材ブランドとして、繊維、フィルム、レジンなど幅広い素材形態へ展開されています。

この記事で分かること

  • ブリュード・プロテインとは何か
  • 微生物が服の素材を作る仕組み
  • なぜファッション業界で注目されているのか
  • THE NORTH FACEやStella McCartneyでの採用事例
  • 本当に環境にやさしい素材と言えるのか
  • 未来の服を変えるために残る課題

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クモの糸から発想?ブリュード・プロテインとは

ブリュード・プロテインは、Spiberが開発する構造タンパク質素材です。Spiber公式では、Brewed Protein™ファイバーについて、分子レベルで設計され、植物由来の主原料をもとに、独自の発酵プロセスで生産される繊維と説明されています。

ポイントは、「クモの糸そのもの」ではなく、クモの糸など自然界のタンパク質構造に着想を得た素材であることです。自然の優れた構造をヒントにしながら、人間が設計し、微生物発酵で作る新しい素材と考えると分かりやすいです。

ブリュード・プロテインを一言で整理
項目 内容
開発企業 Spiber株式会社
素材の種類 発酵由来の構造タンパク質素材
原料の考え方 植物由来の主原料を使い、微生物発酵で生産
展開形態 繊維、フィルム、レジンなどに加工可能
用途 衣服、アウトドア用品、ファッション小物、化粧品素材など

誤解しないポイント:ブリュード・プロテインは「クモの糸をそのまま服にする素材」ではありません。クモの糸に着想を得た研究から発展した、微生物発酵由来の構造タンパク質素材です。

出典:Spiber|Brewed Protein™ fiber
出典:Spiber|Innovation

微生物が服の素材を作る仕組み

ブリュード・プロテインの特徴は、素材を「育てる」ように作る点にあります。植物由来の糖などをもとに、微生物の発酵プロセスを使ってタンパク質を生産し、それを繊維やフィルムなどの素材へ加工します。

ビールや味噌、ヨーグルトのように、発酵は昔から人間の暮らしに使われてきました。ブリュード・プロテインは、その発酵の考え方を、食品ではなく素材づくりへ応用しているイメージです。

素材ができるまでの流れ

1. タンパク質を設計する
目的に合わせて、どのような特性を持つ素材にするかを考える。

2. 微生物発酵で生産する
植物由来の主原料を使い、微生物の発酵プロセスでタンパク質を作る。

3. 繊維や素材へ加工する
抽出・精製したポリマーを、繊維、フィルム、レジンなどへ加工する。

この仕組みが注目されるのは、石油由来素材や動物由来素材だけに頼らない選択肢を作れるからです。もちろん、すべての素材をすぐ置き換えるわけではありません。しかし、原料や生産方法から服を見直す動きとして、非常に面白い技術です。

なぜファッション業界で注目されているのか

ファッション業界では、環境負荷が大きなテーマになっています。大量生産、大量消費、大量廃棄、化学物質の使用、水の消費、マイクロプラスチックなど、服をめぐる課題は少なくありません。

UNEPは、ファッション・繊維セクターが世界の温室効果ガス排出量の2〜8%を占め、海に流れ込むマイクロプラスチック汚染の9%に関係すると説明しています。服の問題は、デザインや価格だけではなく、素材を何から作るのか、使い終わった後にどう扱うのかまで広がっています。

ファッション業界が見直されている理由

  • 服の大量生産・大量廃棄が問題になっている
  • 石油由来の合成繊維による環境負荷が注目されている
  • 動物由来素材にも土地利用・水使用・飼育負荷などの論点がある
  • 素材の生産から廃棄まで、ライフサイクル全体で考える必要がある
  • エシカル消費やサステナブルファッションへの関心が高まっている

ブリュード・プロテインは、この流れの中で注目されています。単に「珍しい素材」だからではなく、服の素材そのものを、発酵・バイオものづくり・循環型の考え方から見直そうとしている点が新しいのです。

出典:UNEP|Sustainable fashion and textiles
出典:European Commission|EU Strategy for Sustainable and Circular Textiles

THE NORTH FACEやStella McCartneyでも採用が進む

ブリュード・プロテインが面白いのは、研究素材のままではなく、実際のブランド製品に使われ始めていることです。

たとえば、THE NORTH FACEの「Sashiko Collection」では、Spiberが開発したBrewed Protein™ファイバーを採用したジャケットなどが発表されています。また、Stella McCartneyのWinter 2026コレクションでも、Brewed Protein™ファイバーを使ったアイテムがパリ・ファッションウィークで披露されました。

採用事例の見方

ブランド・企画 意味
THE NORTH FACE アウトドア分野での実用素材として注目される。
Goldwin 複数ブランドでの展開により、量産・販売の段階へ近づく。
Stella McCartney ラグジュアリーとサステナブル素材の組み合わせとして注目。
A-POC ABLE ISSEY MIYAKE 日本のデザインブランドと新素材の組み合わせとして面白い。
Spiber Tee 001 日常着として素材を体験できる入口になる。

Goldwinは、2023年秋冬コレクションでTHE NORTH FACE、Goldwin、nanamica、Woolrichなど複数ブランドからBrewed Protein™ファイバーを使った製品を展開しました。これは、実験的な素材から、販売される製品へ進み始めた重要な動きです。

ここが熱い:ブリュード・プロテインは、展示会だけの未来素材ではなく、アウトドア、ラグジュアリー、日常着へ少しずつ入り始めています。読者にとっても「いつか着るかもしれない素材」として見せやすいテーマです。

出典:Spiber|THE NORTH FACE “Sashiko Collection”
出典:Spiber|Stella McCartney Winter 2026 collection
出典:Goldwin|GOLDWIN / Spiber 2023 FW Collection

環境にやさしい素材と言い切れるのか

ブリュード・プロテインは、サステナブル素材として注目されています。ただし、「すべての素材より必ず環境にやさしい」と単純に言い切るのは避けた方がよいです。

Spiberは、Brewed Protein™ファイバーについて、カシミヤなど一部の従来素材と比べた環境負荷低減の可能性をLCAで示しています。たとえば、カシミヤとの比較で、温室効果ガス排出、土地利用、水使用量などの削減可能性が示されています。

ただし、LCAは前提条件によって結果が変わります。どの原料を使うのか、どこで生産するのか、どの電力を使うのか、輸送や加工をどう考えるのかによって、環境負荷は変わります。

環境負荷を見るときのポイント

  • どの素材と比較しているのか
  • 原料の調達条件はどうなっているのか
  • 再生可能エネルギーを使っている前提か
  • 工場がどの稼働率で動く想定か
  • 繊維化、染色、縫製、輸送まで含めているか
  • 使い終わった後にどう回収・再利用するか

正確に言うなら:ブリュード・プロテインは、従来素材と比べて環境負荷を下げられる可能性が示されている新素材です。ただし、削減効果はLCAの前提条件に左右されるため、過度な断言は避けたいところです。

出典:Spiber|Sustainability
出典:Spiber|LCA Report

本当に服の未来を変える?普及の課題

ブリュード・プロテインは非常に魅力的な素材ですが、すぐにすべての服を置き換えるわけではありません。未来素材として広がるには、価格、量産、品質、洗濯耐久性、着心地、表示、回収、ブランド採用など、いくつもの課題があります。

また、素材だけが変わっても、アパレルの大量生産・大量廃棄の構造が変わらなければ、環境問題の根本解決にはなりません。サステナブルな素材と、長く着る文化、修理、回収、再利用がセットで必要になります。

期待 課題
石油由来・動物由来素材に代わる選択肢になる 量産規模を広げる必要がある
高級感のある素材表現ができる 価格が下がらないと日常着には広がりにくい
ブランド価値を高める素材になる 洗濯、耐久性、品質安定性の確認が必要
サステナブルファッションの象徴になる 素材だけで大量廃棄問題は解決しない

2026年には、Spiberが新体制で始動したことも発表されています。これは、Brewed Protein™が期待だけでなく、事業化・収益化・量産化という現実的なフェーズに向き合っていることを示しています。

未来素材としての見方:ブリュード・プロテインは、服の素材を変える可能性があります。ただし、普及には価格、供給量、ブランド採用、消費者理解、回収の仕組みが必要です。

まとめ|ブリュード・プロテインは未来の服を変えるかもしれない

ブリュード・プロテインは、クモの糸に着想を得た研究から発展した、微生物発酵由来の構造タンパク質素材です。現在は、SpiberによってBrewed Protein™として展開され、ファッションやアウトドア分野で採用が進んでいます。

THE NORTH FACEやStella McCartneyなどのブランド事例を見ると、単なる研究素材ではなく、実際に着る服や製品に使われる段階へ近づいていることが分かります。

この記事の要点

  • ブリュード・プロテインは、微生物発酵で作る構造タンパク質素材
  • クモの糸そのものではなく、自然界のタンパク質に着想を得た新素材
  • 植物由来の主原料を使い、Spiber独自の発酵プロセスで生産される
  • シルク、ウール、カシミヤのような質感表現が期待される
  • THE NORTH FACE、Goldwin、Stella McCartneyなどで採用事例がある
  • 環境負荷低減の可能性はあるが、LCAの前提条件に注意が必要
  • 価格、量産、耐久性、回収の仕組みが普及のカギになる

服の未来は、デザインだけでなく、素材そのものから変わっていくかもしれません。石油由来素材、動物由来素材、天然素材、リサイクル素材、そして発酵由来の新素材。これらをどう組み合わせ、どう長く使い、どう循環させるのかが、これからのファッションに問われます。

ブリュード・プロテインは、その未来を考えるうえで、非常に面白い素材です。まだ課題はありますが、ファッションとバイオものづくりが交わる新しい流れとして、今後も注目したいテーマです。

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参考情報

  • Spiber|Brewed Protein™ fiber
  • Spiber|Sustainability
  • Spiber|News & stories
  • Spiber|Stella McCartney Winter 2026 collection
  • Spiber|THE NORTH FACE “Sashiko Collection”
  • Goldwin|GOLDWIN / Spiber 2023 FW Collection
  • Spiber|Spiber Tee 001
  • Spiber|新生「Spiber」発足および新体制に関するお知らせ
  • UNEP|Sustainable fashion and textiles
  • European Commission|EU Strategy for Sustainable and Circular Textiles

※本記事は2026年6月時点の公開情報をもとに作成しています。Brewed Protein™素材の製品展開、環境負荷評価、LCA条件、販売状況、ブランド採用、量産体制、価格、耐久性、回収・リサイクル体制は今後変更される可能性があります。実際に製品購入や事業活用を検討する際は、必ずSpiber公式情報、各ブランド公式情報、販売元、専門家の最新情報をご確認ください。