「みりおさまと私(たち)!」(←王様と私です) | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。


2024年4月14日12時45分公演

「王様と私」を日生劇場にて。
「精霊」見損ねましたので久しぶりのみりおさま。わくわくして日比谷へ。職場にも近いのだけど、日比谷公園のこちらとあちらではまるで別世界です。

何度も公演されている作品だから、破綻とかないのは極めて安心安全。
西洋列強とアジアの王国パワーバランスの話だから、まあ今的には考え始めるといろいろ問題はあろうけど、言い出すと本当にキリがない。
(野蛮人と思われないためには西洋風にするの?ここにも鹿鳴館?とかね)
下手すると、昔の作品は上演できなくなってしまいますよね。

それでも、幼い二人の子ども(王子とアンナの息子)が「正解なんて、ない!」って納得&意気投合するところは今風だなあと思いました。このへんは新しい演出なのだろうか?
…私この作品一度見てるはずなのになー?マツケンさんか渡辺謙さんで…幻覚だろうか?記憶あやふや…。

とかなんとか、作品へのあれこれはもはやどうでもよくなったのは、連れてってくれた友人が積み重ねた功徳の恩恵である、超良席のせいなのでした!
いやはや、幸せ。
みりおさまと私の間には空気だけ!みたいなシーンがいくつもあって、夢心地とはこのこと。
Shall we dance?なんて、最初の8小節?16小節?くらいは私たちのすぐそこで歌ってくれたー❣️

ドレスもすごく似合ってて、姿勢も美しくて、お芝居はくっきりと感情が出ていて…気高く頑固で、でも情も忘れない麗しの貴婦人。
みりおさまにぴったりの役でした。宝塚時代をご存じない方は、男役だったとか言っても信じられないんじゃないのかなあ。
著名な作品だしシングルキャストだし、代表作になるのではないかしら。

北村さんの王様、居丈高で男尊女卑で私嫌いなタイプ(←どうでもよい)なんだけど、何故か憎めない造型が、とってもよかったです。それは列強の間で「悩んでる」のがズキズキと伝わってきたからだろうな…。
ラストはなんとも切なくて、なんか泣けました。彼の後を継ぐ王子(チュラロンコーン)が、西洋化を図る名君なんですよね。

王妃役の木村花代さんは、四季の看板女優さんだったとか。さすがの歌声だし、夫(といっても側室うじゃうじゃいるが)が信頼と多分愛情を寄せているアンナを、夫に会いに行かせる場面など、とってもよかったです。
「それ(ができるの)は私じゃないの」
とアンナに語る第一夫人。
なんでも独占しないと引っ込まない当世風の女たちとは、別の生き物です。
ま、西洋の男性が描く、勝手な東洋人女性イメージなのかも知れませんけど…ね。そんな生き方もある。

竹内將人さんや中河内さんは、宝塚以外のミュージカルに以前より通うようになってからこっち、すっかり覚えてしまいました。みなさまあちこちで大活躍ですね。(というか、男性は人手不足なの?)


舞台装置や衣装も豪華絢爛、異世界のストーリー。ザ・ミュージカルを見たいという向きにはうってつけかな。

観客に解釈を迫る目新しさとかはないけれども、クラシカルな魅力に溢れていて、こないだまで同じ劇場にかかっていた「COME FROM AWAY」とは全く違う趣の作品。

これぞ舞台を見る楽しみです。