私は女子大を出ている。もう数十年…半世紀とは言わないが…(笑)も前の話。
昨今、少子化、女子の進学率の上昇及び共学志向で、女子大は凋落して久しい。
偏差値は下がっているにもほどがあるし、もはや女子大のことを記事にする記者も少ないが、たまに載るとわが母校は女子大凋落の象徴の如く「昔の面影いまいずこ」という論調で描かれる。
ま、仕方ないと思う。それは時の流れ。
私がトホホと思うのは、ときどき会う同窓生の、しょーもない嘆きなのです。
偏差値下がっちゃったねーとか、なんとかならないのーとか←なるか!
(傾向としてだけど、専業主婦メインだったひとほどそう言う)
私は、女性社員はW大やK大卒ばっかの会社で延々と働いていて、学歴の恩恵なぞ全く享受しなかったし、なにより仕事と学歴の相関はほぼ信じていない。母校の凋落はそりゃよろこべはしないが、私の人生に直接関係なし、と思ってる。
だからその話になると、同級生たちの嘆きに同意できず、黙り込んでしまう。
嘆いてるばかりでなくてさ、母校の価値を上げるために、自分で何かしてきたんだっけ、みんな?
何年か前の、上野千鶴子の東大入学式祝辞をご記憶だろうか。
恵まれた才能と環境を、そうでなかった人たちのために使え、と。自分のためだけでなく。
久しく日本人が忘れている、ノブレス・オブリージュ。
私は東大に入るような根性にはついぞ恵まれなかったが、この祝辞全文を読んだとき涙が出た。
自分のキャパシティも顧みず、自分もそうしたいと思ったのだ…自分のためだけではない、と思えれば辛いことにも耐えられる。
わが母校の創立者は、女子教育の先駆者である。
その昔、偉大なる先輩方は「マフィア」なんて揶揄されながら、雇用機会均等法の成立に尽力された。まあ、上野先生はこの法律、評価されてないみたいですけどね…私はあってよかったとおもってるけど。
卒業生は創立者を尊敬してやまぬ。私もです。
そうして、その尊敬とは別に私は…逆説もよいところだけど…そのひとの望みは、女子大が使命をまっとうし、なくなることなのではないかとさえ、思うのである。