「ダイヤモンド」
(オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・シクリャローフ)
私にとっての試金石(というと偉そうですが)、ジュエルズより「ダイヤモンド」。普通の踊り手だとなんだか眠くなるのですが(音楽がそういう感じなんです)、そうじゃないと本当に見惚れてしまうこの一品。これを見ると自分の好みかどうかわかるという意味で…。
今お気に入りのスミルノワが踊るというので、すごく楽しみにしておりました。
うん、とても綺麗だったと思います。何も文句なし。そしてあと2年後頃にもう一度彼女のダイヤモンドを見たい、そう思いました。彼女独自の味わいがもっと出てくると思うので。
なんだか最近ダイヤモンドばかり見てるけど、ルビー、エメラルドと他のも見たいなー。もうかなり前のパリオペ公演での「ルビー」で、ヤン・サイズが素晴らしかったのは今では懐しい想い出。
「3つのプレリュード」
(アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ)
どこで拍手していいのか若干わかりにくかったけど、いかにもパリオペの二人で素敵でした…。なんというのか、究極の洗練?
バランシンはその典型だけど、他のカンパニーに振り付けられた作品を「パリオペならではのものにする」という消化力は本当に、このカンパニーすごいと思う。このうえなく美しくて研ぎ澄まされていて、どこか排他的。別の世界。
これが伝統ってものなのだろうなーと深く思う。延々と伝えられてきた言葉でない何か。いや、言葉の国フランスだから、言葉で伝えられているのかもしれませんね。それは私には知る由もないですが。
「海賊」
(オニール八菜、マチアス・エイマン)
とても楽しみにしておりました。だから書くのはちょっと辛い…けれども。
マチアスはAプロ(ゼンツァーノの花祭り)の方がよい出来だったと思います。本当に彼のバレエが好きなのでそう言いたくないのだけど、昔の彼と比べて正確さにほんの少しの毀損があったと思う。それは年齢のせいなのか、怪我のせいなのか…。
もちろんこんなに美しく踊れるダンサーはそんなにいません。なんだけど、私は想い出の中の彼を想ってしまう。もはや美化されているのかもしれないそれを。
第3部
「椅子」
(アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン)
これ、以前のバレエフェスティバルでも見ていると思います。
そして今回改めて見て…いやはや、本当の良さを「わかる」とは私にはとても口にできないと思いました。理解するには「ヨーロッパ的教養」が必須なのではないかと思う。うわべだけで「素晴らしい」とか言えないな。
フェリの美しさや、ジルの演技には心動かされるけれども、振付家の意図を今の自分に受け止められてるとは、とても思えない。芸術の奥深さだけを思い知る作品でした。
それでも、ベテランの域に達したダンサーにしか演じられないパフォーマンスなのは伝わりました。なんつーても、95歳と94歳の夫婦という設定なんですもの。
続きます。