2021年5月5日13時ライブ配信視聴
自分が好きでしていることにたいして、他人から「ああでもないこうでもない」と講釈されるというのは、どんな気持ちのものだろう。
のぞみさんに限らず、宝塚やバレエなどについて好き勝手な感想を書くとき、私はいつも思います。
(ひとつひとつを本人が目にするかは置いといて。)
自分では何もできないのにしようもないこと言ってるな、トホホというか、後ろめたいような想い…。
だけど望海風斗についてはつい書きたくなってしまう。
単純に、彼女のパフォーマンスを堪能したい気持ちが強いから…でしょうか。
「エリザベートガラコンサートアニヴァーサリースペシャルversion」千秋楽を見て、その想いがより増した。
ビシッといちいち決まる音程と声の響き、楽曲の美しさを引き立てる声質、制御自在な声量。
(声量の制御って難しいんだと最近気づいた…このガラでいろいろな方の歌を聞いたからかな)
そして、音程に揺さぶられない明瞭な歌詞。
全てが相まって伝達力がとても高い。今回はコンサートなので演技は通し舞台ほどは入っていないけど、歌だけでドラマを形作れていた。
あ、これは北翔さんも同じです。みっちゃんてマジ凄いんだ、と改めて思いましたわ…。
8月から、のぞみさんのコンサートは予告されましたが、これはまあ退団後のお約束で、おそらくまだ男役風味を残したまま。
問題はそれに続く道かと思います。
歌…は、それこそ対価を得るに十分な力量で、需要は十分にあると感じる。越路吹雪さんのようにリサイタルを続けて欲しいという声もあちこちで拝見します。
でも私は困ったことに、彼女のお芝居やダンスも好きで、それが見られないのはとてもつらい。歌だけでは満足できないような予感に苦しんでしまいます(勝手に苦しめ、なのですが)。
お芝居に関して言うと、彼女の芝居力がストレートプレイでどんな風に生かされるのか、シェイクスピア悲劇(結局悲劇)なんかで見てみたい。ギリシア悲劇(あはは)なんかでもいいな。あのすんごい滑舌で、比喩に富んだ大量科白をどう、届けてくれるのだろう。
ダンスは、もはや男役ダンス、黒燕尾なんかはほぼ見られないと諦念しています…それが、卒業するということだから。そしてダンスにはやはり年齢という縛りがあるから…体のきくうちに、新感線みたいなパフォーマンスで大騒ぎ(?)してるのも観たい。
歌に戻ると、女声の域に音域広げながら、男役の歌を歌うというのは大変なんだろうな、といらぬ心配。
でも、霧矢さんのフランツを聞いて、優秀なシンガーさんならできないことはないのだ、とも少し思えました。彼女は卒業後、名実ともに日本を代表する商業演劇の女性役で活躍しておられますし、それであの堂々たる男歌。
舞台に出続けて、鍛錬していくとはなんと強いことなんだろう。
そして、裏声というのはどの人の声も似たように聞こえてしまうのは、何故なんだろうとも、不思議に思いました。
その人の個性(地)が出るから地声、なんだろうか。
世間には歌の上手い方々は溢れんばかりにいるし、ダンスは若者の特権。そしてお芝居にもいくらだって巧者はいてしのぎを削ってる。
命すり減らして磨き上げてきた男役芸は、無用の長物←今までは…ね。
ここが宝塚男役in芸能界の悲劇構造なんですけど、そんなもの愚痴っていられない。
どうかどうか、焦らずご自分の道を創っていってほしい。私たちは待ちます(←あれ、私だけ?)。
観に参ります、そこに舞台があって、望海風斗が立つ限り。