マイ・フェア・レディのその先は | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。

 

2018年9月29日17時公演
 
退団後はじめて、まあ様に会いにいって参りました!まあ様ファンの友人のお誘いです。
 
オーケストラが舞台装置の2階の上手下手に納められていて、指揮者の方は上手に。なかなか素敵な演出です。装置もお金かかってますね。
 
まあ様、花売り娘にしてはすらりとしすぎています(英国では庶民は背が低い)が、颯爽と?登場。下町なまり…というか、言葉がすごくて最初は「おどれえた」(笑)
そして最初の歌の第一音でこれまたびっくり。
『全然、発声が違う…』
宝塚男役の発声って、やはり独特なんだなあ。みなさま退団されてからそれをそと向けにするのに苦労されると聞きますよね。
でも、全然違和感なくて、表情豊かな歌の数々。最高音ロングトーンまで完璧!というのではありませんでしたが、充分素晴らしかったです。
 
まあ様って、花組の頃にはシンガーという印象は全然なくて、それが宙に行かれていつのまにやら「あれ?うまくなった?」って思い、御披露目の「王家」では「ひゃ~」とおもう進化ぶりでした。そして今また…。努力されてるんだなあ、すごいなあと。
 
ポスターに使われてるリボンが印象的なドレス@アスコット競馬場は、個人的にはちょっとイメージ違ったけど、大使館パーティでの純白のドレスはほんとに眩い美しさ❗やはりドレスの着こなしは宝塚出身者の右に出るものはないですよね…まあ様は男役だけど。
 
お話はよく知られているとおりで、かなり長いですが楽しめます。寺脇さんのヒギンズの演技がとってもうまくて、包容力の欠片もない(笑)男の滑稽さがよかったです。そしてさすがの前田美波里さま(母親役)の貫禄…まったくもう、かっこいいったらありゃしないですね。
 
しかし、全編を貫くヒギンズ教授の「女は馬鹿だ」的な言動や歌、この強烈さって、今が初演なら大丈夫なのかなあ?と思っちゃう。ミソジニーってやつなんだと思いますが、昔は女は完全に男より一段下、動物よりは上って感じだったんですね。
英国の階級差を風刺した物語だと言いますが、私はこっちの方が気になりました。
 
そしてもちろん、「言葉がすべてを牛耳るのか?」との問いも私の胸にのこる。
宝塚ファンおなじみの『ミーアンドマイガール』にも「本当はどうなのかより、どう扱われるかによって変われる」みたいなきつーい科白がありますが、似た文脈。
確かに、人間は言葉でものを考えるし、言葉を知らないと考えが至らない。言葉が規定する人間の行動や情緒は幅広いものがあると思います。
でもねえ、言葉だけ丁寧でも品性どうなのって人もいくらでもいるし。それこそ女性は言語的に優れているから「化けられる」。
イライザがいくら貴族の令嬢のような話し方を身に付けても、中味はどこまで変わるのか…。
 
ラストシーンは二人の抱擁とかではなく、お互いをようやく認めながら微笑み、近づいていく…そこに幕が降りる、というもの。
詳しくないのですが、原作はハッピーエンドじゃないということで、このへんも含みを持たせてるのかもです。
 
ハッピーミュージカルというには結構考えちゃいましたが(←悪い癖)、まあ様の元気なお姿拝見できて嬉しかったです!これからのツアーも頑張ってくださいませ。