2018年1月28日(日)宙組特別公演「不滅の棘」11時公演。
愛月ひかるさんの初東上公演です。
真っ白な衣装の洪水に、お伽噺感とスタイリッシュさが入り交じった思議な美術。暖炉の薪まで白いんですよね…絶対何が意味があるとおもったけど。
当時はとっても斬新だったと思うな。
そして見続けるうちに、「ああ、春野さんに当ててかかれたのだなあ…」との思いが溢れてくる作品でした。
彼女は白が似合った。そして宝塚の歴史に残る歌手だった。
エリィまたはエロール役は正統派の男役でなくてはならない。この不思議な話を最後まで飽きさせずに引っ張るには、見るも麗しい、目が離せない男役でなければ。非常に人を選ぶ作品だと思いました。
そしてそれに応えようと、愛ちゃんは限界まで頑張っていた。どこに出しても恥ずかしくないシンガーであるオサさんのために書かれた歌を歌いぬき、白い衣装をとっかえひっかえ着こなして。
私はオサさん主演を見ていないのでなんとも言えませんが、ま、正直、オサさんで一度聞きたかったというのはある(笑)。しかし、愛ちゃんも充分素敵でしたよ。ここが正念場感がギリギリと巻き上げられてて、目が離せませんでした。スタイル抜群で押し出しもよいので、ムリムリな衣装のなんと似合うこと。
ダブルヒロインみたいなららちゃんと華妃まいあちゃん、どちらもお歌上手いし、お芝居もよかったと思います。特にららちゃん、達者だね~。新公でアムネリスを見ましたが、今回みたいな若フリーダのような役の方が似合いますね!
アッキーは相変わらずの品のよさだし(敵役だけど)、脇に携えてると安心この上ないりんきら。
みんなスタイリッシュでかっこよかったです。そしてまあ、せーこちゃんの芝居の上手さよ。息子に詰め寄られる場面の言い逃れとか、ほんとそこだけ段違いにリアルでした。
しかし、大劇場では「ポー」やってるときに不老不死の話なのね(笑)
どちらも、限りある命だから素晴らしいとのメッセージ。でも、ポーはあくまで耽美だけど、「不滅」は不老不死に皆が怯えるのが印象的でした。不滅なんてない。もしあるとしたらそれは異物で、永遠に肌を刺し血を流す棘なの…。
最後のご挨拶ですっかり女の子声になってしまった愛ちゃん(笑)。思えば、まあさまを支え始めた頃から、狂乱のリストだの、謎のイタリア人デザイナーだの、まあ、ルキーニはよいとして、大阪の成金に世紀のペテン師ラスプーチンだものね。売り出し中の路線男役としては、ファン獲得に使いたい時期に割りを食ったと思います。もちろん、役者としては成長に寄与したことに疑いはないですけど…。
適役とも言えるこの東上をきっかけに、飛躍されますように。
私、彼女の役のなかではやはり、王家のケペルさん(勝利の行進ステキ)やらシェイクスピアのサウサンプトンがいいなと思うのですよね。そう、コスプレ。
これからの宙は、ゆりかキキ愛と長身が揃います。他の組に出来ないかっこよい作品を観たいな。劇団さま、よろしくお願いいたします。