この夏85になった母。

今年の税金申告の折り、まだまだ女を捨てない…というか女ソノモノというか…確かそんな話をブログに書いた覚えがある。


先日、ある手術をすることになり、私の姉が前日から付き添ってくれた。

スタッフのみなさんが手術に際しての注意点を話してくれたらしいのだが。

「指輪とか身に付けているものは全て外してください。入れ歯も危険です。御化粧なども禁止です」

85の婆さんにそんな事云う必要もないと思うが…

手術当日。


案の定入れ歯をしたままだった。どうやら外すと如何にも婆さんくさい口許になるのが嫌だったらしい。

何とか入れ歯を外させて、手術室に。

ふと彼女の口元を見ると

………紅い…

い、いつの間に口紅を…?

「お化粧はアカンよ?」
「してません」
「唇が赤いやないの」

「私の唇は元からこんな色です!」

…みんなで何とか説き伏せたらしい。


元気なのはいい事だ。


もういつ死んでもおかしくない。これが最後かもしれへんなぁ…。覚悟はしてるけどな。


私が東京に戻る時には、必ずそう言って寂しそうに笑う。


姉情報によると手術の前に母は担当医に、こう念をおしたらしい。

「東京オリンピック見れるんでっしゃろな」



母よ、いつまでも元気で。