大変お待たせいたしました…漸く最終話です。
※最初の注意事項をよく読んで了承してくださった方のみでお願いいたします。



「はぁ〜楽しかった」

初めての生配信、たくさんの人に観てもらえて、誕生日を祝ってもらえて凄く充実した時間を過ごせた。

「あ、智に連絡しないと…」

智には俺の家で待っててもらってる。帰ったらいるなんてまだ信じられない。今日のことは全部夢だったんじないかと疑ってしまう。

車から降りても、エレベーターに乗っても、ずっとドキドキと心臓が大きな音を立てる。自分の家に帰るのにこんなに緊張するなんて初めてだ。

「ただいま〜」

一つゆっくり深呼吸をしてから玄関のドアを開けた。


「おかえり」

…夢じゃなかった。シャワーを浴びたようで、俺の服を着て髪がふわふわになった智がペタペタと玄関まで歩いて俺を迎えてくれた。




「どうする?なんか食う?」

「んー、ちょっと食べてきたから今いいや。とりあえずシャワー浴びてくる」

出掛ける前に潮風と汗でベタベタしていたからさっとシャワーを浴びたが、やっぱりきちんと洗いたい。…この後のことを考えると余計に。



「お、出た?」

「何作ってんの?」

「酒のツマミ」

風呂から上がると美味しそうな匂いがした。スパイスの香りが鼻腔をくすぐり、あまり空いていないと思っていた腹がぐ〜っと音を立てた。



「んじゃ、」

「「カンパ~イ」」

智の作ったものを久しぶりに食べたがやっぱり旨いし、ビールで流し込むともう堪らない。

「見てたよ、配信」

「マジ?」

「豹柄コーデ何気に似合ってた(笑)」

「まぁ、ニノちゃん何でも着こなすんで」


その後も今日の配信のこと等色々話して盛り上がって夜もいよいよ更けてきた頃、


「じゃ、行くか」

「何処へ?」

「ベッド」

よし、と突然立ち上がった智に当然のように言われ、ほろ酔い気分だった俺は何のことだか一瞬わからなかった。だけど、すぐに約束を思い出し、耳がカッと熱くなったのがわかった。

「〜〜〜ッ!ムードってもんがないんですよ、アンタは!」

「今更ムードなんて気にしたってしゃあねえだろ」

耳が赤くなったのが恥ずかしくてついつい悪態をついてしまうけど、カラカラと笑う智はそんな俺の心情ももちろん察しているようで、スッと手を差し出してきた。ったく…なんて文句を言いつつも、俺はその手を掴み、一緒に寝室へ歩き出す。



目的地に着くとすぐにボスッとベッドに押し倒された。

「…本当にスんの?」

「何?全部くれるんじゃねぇの?」

智の眼はもう雄の眼そのもので。今すぐにでも全部を喰おうとしているかのようだった。…でも、

「だって俺もうおじさんだし、お腹だってポニョだし…」

智が興奮しないんじゃないかっていう不安に襲われ、さっきまでの自分のヤル気モードが嘘のように気持ちが沈んでいった。反応しなくて『ごめん』って謝られるのが怖くて堪らない。
そう言うと智は「馬鹿だなぁ」と言って優しく笑った。

「和のことこんなに好きでさっきから興奮収まんないのに抱けないわけないじゃん」

そっと智の中心に手を導かれると、そこはもう熱くて自らを主張していた。

「…バカ」

本当に俺で興奮してくれているんだと嬉しくて心も身体も一気に熱くなる。もうこの人が欲しくて堪らない。

「和也の言った通りイイ子で待ってたんだからご褒美ちょうだい?」

子供のような言葉遣いと裏腹な、普段の彼からは想像もできない妖艶な笑みにクラッとする。

「…いいよ、でも残さず愛してよね」

なんだかちょっと悔しかったから表情も言い方も意識して誘うように言うと、驚いたように眼を瞬き、でもその後すぐにフフッと笑った。


「仰せのままに」


一つ、俺の唇にキスを落とすと俺達はそのままベッドに沈んでいった。









「今日からまたスタートだね」

「何が」

「俺達の関係?」

身体に散々愛を刻み込まれ、こんなに心も身体も満たされたことはなかったな、なんて幸せな気持ちに浸っていると、さっきまで男の色気丸出しだった智がふにゃりと笑ってそう言ってきた。

何だそれ、と思ったけどその言葉を聞いて一つ思い浮かぶものがあった。

「…もしかして無人島?」

「お、よく覚えてたじゃん」

昔テレビで俺と無人島に行きたいって言っていた時期があったのを思い出した。…あの時は嬉しかったな。メンバーに嫉妬はあんましなかったけど、それでも他の誰でもなく『ニノと行きたい』って言ってくれたのは当時も思わずニヤけてしまう程だった。

…って、え、待って…まさか


「今日のって…」


「『俺と絶対行くぞ』って言っただろ?」


ニヤッと笑ってそう、彼は言った。



…そうか、


智はあの時からずっと本気でいてくれてたんだ。


それを俺はずっと信じられないで、一人で悩んで決めつけて、相談もせずに勝手に手を離したんだ。それなのに…ずっと…

「…ごめんね」

「え?」

申し訳ない気持ちでいっぱいで涙が滲む。

「ずっと信じられないでごめん」

そう謝ると、智はギュッと俺を優しく抱きしめてきた。

「和が謝る必要なんてないってさっきも言ったじゃん。俺がフラフラしてたせいなんだから。…ずっと不安にさせてごめん。」


「あの時『二人で無人島行きたい』って言ったのは『和也と仕事とか世間体とか全部ほっぽり出して二人でいられたら』って願望だったんだ。でも、『いつか絶対』ってずっと思ってた。…それが今日叶ったんだ。和也がずっと俺のこと好きでいてくれてたから叶ったんだ。」



「ありがとう」




本当に愛おしそうにそう言うから、大切なものを扱うように俺の頭を撫でるから、またボロボロと頬を雫が伝う。

この涙のように溢れる言葉にならない想いを伝えたくて、俺からもギュッ…と智を抱きしめた。


もう絶対この人を離さない。


この体温を逃しはしない。




 「愛してる」






終わる終わる詐欺+投稿遅れて申し訳ございませんでした💦どうなの?って思うところもたくさんあったと思いますが、最後までお付き合いくださったお優しい皆様本当にありがとうございました!ラブえーん明日あたり(また遅れるかも…)あとがきアップします!