シン・ウルトラマンを観た

 

幼稚園の時がウルトラマン、ウルトラセブンの絶頂期だった

時間を守ることのない私が、10分前からTVの前で正座してOAを待っていた

それ位ウルトラマンへの思い入れは強い

 

う〜ん面白い

早い段階で神永がウルトラマンと周囲に分かったり、ストーリー展開は良い意味で斬新

自らの解釈でウルトラマンを蘇らせようとした監督の気概がヒシヒシと伝わってくる

 

会話中にオッドなカメラアングルが入ったり、効果音の入れ方はオリジナルのスタイルをそつなく踏襲している

効果音や音楽が心底下手な日本のエンタメ映画とは違う

最後に安っぽい歌謡曲が流れ始め、興醒めしてしまう展開もない

攻めて歌謡曲を入れたが、米津さんの歌もエンディングに合っていた

 

初めて長澤まさみの演技を見た

演技しない演技、自分を演じることでストーリーに現実味を持たせていく

オリジナルに縛られない他の配役も良かった

 

ウルトラマンを知らない世代がどんな感想を持つのだろう

70年代に熱狂した世代としては若者の反応が知りたい

 

2年振りの映画館での鑑賞

立ち飲み酒屋のシーンがあり

思わず帰りに一杯引っ掛けた

頑張った映画はふと観たシーンが心に残る

 

 

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茨木のり子の詩が今のウクライナ情勢を連想させた

 

「悪道たち」

春休みの悪童たち 

所在なしに 

わが家の塀に石を投げる 

石は 

古びた塀をつきぬけ硝子窓に命中する 

思うに 

キャッとばかり飛び出してゆく私の姿を 

見ようがための悪戯で 

桜の木から偵察兵のちびが 

するすると逃げてゆくのを目撃した 

花泥棒とか実を盗むのならかわいいのだけれど 

 

ある日 

とうとう一味の三人を掴えた 

   学校名を言いなさい! 

   何年生? 

   だれがしたの? 

   あなたたちの家 どこ? 

   あなたたちのお母さんに 

   言わなければならないことがある! 

一味は頑として口を割らず 

逃げた首謀者を庇っている 

かれらにはかれらの掟があり 

沈黙は抵抗運動の仲間のように完璧だ 

私の叫びを不敵な笑いで眺められると 

ぎりぎりと拷問しても 

泥を吐かせたいさざなみが立ってくる 

 〜

 

次の日は戦法をかえる 

塀に石の鳴る時刻 

私はほんきでやさしい気持を作って出てゆく 

   あなたたち そうしないでね 

   自分の家の塀にそうされたら 

   困るでしょう 

   硝子を割られると本当に困るのよ 

ガラスはもはやガラスではなく 

微妙であやしげな人間の権利そのもの 

顫えだ 

子供たちはウンという 

やさしい言葉で人を征服するのは 

なんてむつかしく しんどい仕事だろう 

悪童の顔ぶれは毎日違い 

私は毎日出てゆかねばならない 

 

※『谷川俊太郎選「茨木のり子詩集」』 岩波文庫 P 47〜より抜粋

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「やさしい言葉で人を征服するのは 

なんてむつかしく しんどい仕事だろう 」

厚顔無恥な悪童に対する効果的な手段は今も昔も変わらない

「優しい言葉で征服するか」「同じ代償を払わせるか」しかないのだ

前者は手間が掛かってイライラが募り

後者は一度踏み込むと後戻りできない

どちらにも踏み切れないまま、こう着状態が続いている

 

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村田戦をさいたまスーパーアリーナに観に行った

 

「ゴロフキン相手によく頑張った」だと村田選手に失礼な気がする

試合から長く遠ざかっていなかったら

もう少しのラウンド戦えたかもしれない

 

1Rから事前プランを着実に遂行した

残念なのはボディショットが拳一つ低く、ベルトの下あたりに入って効果にならなかったこと

前回との試合間隔が空きすぎたことで(予想以上に)試合巧者だったゴロフキンとの感覚を差を生んだ

 

村田のガードの隙間を狙って、ゴロフキンは多くの有効打を当てた

彼の重いパンチをあれだけ受けてしまうと

村田選手でなくても試合を続けるのは無理だっただろう

 

この日、最も印象に残ったのは村田選手のパフォーマンスではない

観客の95%以上を占めていた熱い男性ファンだ

女性客の割合がこれほど少ないイベントを私は過去に一度しか観たことがない

20年以上前に武道館で行われたZZ TOPのコンサート以来だ

私の周りには一人で観にきている中年叔父さんがたくさんいた

 

ボクサーとしては繊細、優しすぎる男が一大興行の舞台に立った

特別な思い入れで村田選手を応援するファンにとって

大事なのは彼の性格や生き方であって勝ち負けではない

 

今後の動向は分からない

今回彼が感じた「俺はもう少しいけるんじゃないか」という感覚を試すため

もう1〜2試合するのではないかと思っている

どの進路を選んだとしても、多くの記憶に残る選手だったのは間違いない

ボクサーを辞めた後のキャリアにも注目したい

 

 

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ZEROなどに度々コメンテーターとして出演しているアフロヘアの女性

ジャーナリスト、もと新聞記者の稲垣えみ子さんの記事を最近よく読む

 

50歳で早期退社し、今実施しているお金を掛けない「買わない」生活について綴っている

 

「朝5時に起きてヨガして掃除洗濯をして2時間ピアノの練習をして、いつものカフェでモーニングを食べながら3時間仕事。帰宅して「飯・汁・漬物」の質素な昼食を食べ、午後は別のカフェで3時間仕事。帰りがけに銭湯へ行き帰宅して熱燗一合で豆腐など肴に晩酌。ラジオを聴きながら本を読んだり裁縫をしたりして22時就寝。平日も休日もなく連日その繰り返し。」

 

晩酌に(湯)豆腐とはうまそうではないか

翌日にさっそく実施した

「ポツンと一軒家」に出てくる家主のおじさんが「ご褒美は夜のコップ酒だ」と言うのと大きな違いは無い

 

日々動くために必要なエネルギーさえ摂れば、無理に重い食事をする必要などないのだ

 

コロナ禍でリモートが増えて、会社に行く機会や移動が減った

お気に入りのコップで好きな日本酒をちびちび飲みながら豆腐や漬物を美味しいお米で食べる

それで良いと思い始めたのは年取った証拠だろうか

40代までは「何か特別なものを食べたい」と常に思っていた

 

黒澤明の侍映画を観ても、昔の侍は一膳の米で元気に斬り合っている

もともと日本人はご飯と漬物で済んでいたと考えると、現代人は食べ過ぎなのだ

なんて加齢で胃が小さくなってきた自分を正当化することにも彼女の記事は一躍買ってくれる

 

最近、学校の題材でエマーソンを読む機会があった

“and that the moment he acts from himself, 

tossing the laws, 

the books, idolatries, 

and customs out of the window, 

we pity him no more, 

but thank,” and revere him.

「ある人が心から信じていることを実践すれば

法律や教科書や慣習などどうでもよくなり

人々はその人を憐れむのを辞め、

むしろ感謝、賞賛するだろう」

 

稲垣さん自身はエマーソンのような崇高な目的というより

ただ自分に合っているからやっていると思うが

独自の価値観を実践し、文章で伝える人が増えてくれば

この国ももっと面白くなるはずだ

 

https://toyokeizai.net/list/author/稲垣+えみ子

https://dot.asahi.com/keyword/稲垣えみ子/

 

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【Gov't Mule】

 

Gov't Mule(ガヴァメント・ミュール) を2014年にビルボードライブ東京で観た

 

渋い、燻銀(いぶしぎん)とはこんなバンドを言う

目指すのはミュージシャンシップ、他のミュージシャンの評価は高い

そもそも、こんなバンド名をつけること自体、最初からコマーシャリズムなど意識していないのだ

 

リーダーのウォーレン・ヘインズのヴォーカルはカッコいいし、ギターも最高、曲も良い

でも、ルックスはどちらかというとシャープな方ではない

案の定、会場の90%以上は野暮ったいオジさん世代だった

 

ブルースロックバンドGov't Muleは1994年に結成

オールマン・ブラザーズ・バンドが1989年に新メンバーでスタートを切り

そのOFFサイドプロジェクトとしてスタートしたそうだ

オールマン・ブラザーズ・バンドといえば、米国南部のブルース系ロックの大御所

その再結成にヴォーカル、ギターで呼ばれただけで彼が凄腕なのが分かる

 

Billboardのアルバムチャートの上位に入ることはないが

アルバムはコンスタントに売れ続けている

暑い夜長、蚊取り線香でもつけて、冷たいビールでも飲みながら

Bluetooth スピーカーから流れるウォーレンの渋いヴォーカルとギターに耳を傾けるのもいいだろう

 

Gov't Mule - Banks Of The Deep End

 

Gov't Muleはジャムバンドの要素もあり、演奏はその場のインプロヴァイズも入る

曲の独特の雰囲気もさることながら、走馬灯のようにコンサートが展開していき

観るものを夢心地にさせてくれる

 

東京でのコンサートはちょうどウォーレンの誕生日にあたり

観客が何回も「Happy Birthday!」としつこく呼びかけたがニコリともしなかった

ステージは神聖で笑っている場所ではないのだ

その徹底振りが強く印象に残った


 

"Woman Across The River" - Allman Brothers

若き日のデレク・トラックスとのツインギターは圧巻

 

guzbloom