「喝采」のステージを生で見たことがある

小学校低学年の時だった

なんか暗い内容の歌詞を厚化粧(失礼)の女性が淡々と歌っている

独特な佇まいの不思議な雰囲気を持つ歌手だった

歌詞は分からないが、歌が進むにつれゾクゾクと迫ってくる 怖い

それからテレビで彼女が歌っている時は直視しないようにしていた

 

成長するにつれ、「喝采」の歌詞の内容が分かった

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付き合っていた男に関する手紙が来た

それは訃報だった

駅で別れた最後の瞬間を思い出す

たぶん彼女は夢である歌手になるため、故郷に恋人を残し上京してきたのだろう

そんな記憶を乗り越え、今日もスポットライトを浴びステージに立つ

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ちあきなおみは唯一無二の雰囲気を持った歌手だ

知らない街に行き、現地のスナックのドアを開けるとそこに立って歌っているイメージが妙にピッタリくる

どこか苦労人というイメージがあるからだ

実際に彼女は下積み時代、米軍キャンプやスナックを回っていたらしい

 

「喝采」はそんな彼女の背景にピッタリくる歌詞だが、恋人との逸話は作詞家の創作だったそうだ

後日分かったことだが、彼女も似た体験をしていたという

 

歌詞も素晴らしいが、彼女の歌い方へのアプローチが本当に素晴らしい

名曲「喝采」のステージを観てみよう

 

 

「(恋人を失い)話すひともない私の 耳に私のうたが通りすぎてゆく」の高揚感に、「いつものように幕が開く」と再びステージ上の私がシンクロする

作詞家と歌い手が意図したドラマチックな演出がここまで成功した例は珍しい

 

「喝采」は1972年のレコード大賞を受賞

名実ともにこの年の最高の歌となった

 

ちあき本人は1992年に最愛の夫をなくした後

忽然と芸能界から姿を消して

その後復帰のめどが立っていない

 

名声などよりも、歌や生き方にこだわったアーティストだった

 

昭和時代には見事な歌詞と歌唱力、存在感で歌われた曲がたくさんある

YouTubeには当時の貴重な映像がたくさんあり、日本の名曲を振り返る良い機会を与えてくれる

 

guzbloom

 

 

参考記事:「喝采〜ちあきなおみが歌った“悲しみの名曲”の誕生秘話」

http://www.tapthepop.net/news/46473