絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -106ページ目

雑話172「レンブラントの自画像」

レンブラントは17世紀のオランダで活躍した画家で、精神性の高い人物画で有名です。彼の作品は日本でも人気が高いので、ご存じの方も多いことでしょう。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

レンブラント・ファン・レイン「自画像」1640年

彼はまた多くの自画像を描いたことでも有名で、残存する作品だけでも約80点に達しています。それらは油彩画だけでなく、エッチングや素描などの多様な技法を用いて描かれています。


そんな自画像の中で、レンブラントは自身を芸術家としてだけでなく、兵士や乞食、貴紳など、様々な装いをしています。しかし、その装いの多様さにもかかわらず一貫しているのは、レンブラントの自画像が顔の精読へと鑑賞者を誘っているところです。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

レンブラント・ファン・レイン「乞食に扮した自画像」1630年

※エッチング

1930年頃に制作された初期の自画像は、陰影が施されたり、明るく照らされたりと、入念に整調した明るい光で照らされ、精緻な筆遣いで描かれています。それらは、ときに落ち着いた表情に見えることもあれば、社交的に見えたりもします。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

レンブラント・ファン・レイン「金属の喉当てをつけた自画像」1629年

後年になると、筆さばきは時とともに大づかみなものになっていきますが、顔の再現のための彼独自の工夫は一貫しています。


多孔質で幾分脂ぎった皮膚の再現にレンブラントが好んで用いたのは、先端が細く硬い絵筆と粘り気の強い絵具で、彼は顔の凹凸のラインに沿って筆を運びました。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

最初の自画像のアップ

額や頬に扇形に施された白のハイライトや、鼻に施されたより明るく鋭いハイライトが顔の立体性を高め、頬や鼻に加えられた赤い筆触が肌色の皮膚の下の肉や血管の存在を暗示しています。


唇はピンクや白のタッチをほんのわずか加えただけで湿っているように見え、黒い瞳や下瞼に沿った小さな白の筆触が、半陰影に覆われた眼窩のなかの目に光沢を与えています。


精密な色彩と巧みな構図で描かれたレンブラントの自画像は、観る者に異様なほど直接的な画家との対峙を強要します。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

レンブラント・ファン・レイン「自画像」1659年

「目は魂の窓」と当時の人々は評しましたが、実際レンブラントの顔や黒い眼は、深い思索にひたる男の内面を覗き込んでいるかのような印象を与えてくれます。


絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話

上の作品のアップ

たくましい想像力とその実現を可能にした技巧の産物であるこの一見身近な印象こそ、抗いがたいレンブラントの魅力であり、それは当時も今も変わらないのです。


....................................................................................................................................